コラム

2026/10/16 コラム

被害者が弁護士に相談するメリットとは?警察・検察との役割の違い

犯罪被害に遭ったとき、「警察に相談すれば十分なのか」「弁護士にも依頼した方がよいのか」と迷うことがあるかもしれません。
弁護士への依頼は必須ではありません。警察は犯罪の捜査を行い、検察官は証拠などを検討して起訴・不起訴を判断します。一方、弁護士は被害者の立場から、加害者側との示談交渉や損害賠償請求、刑事手続への関与などを支援します。ただし、弁護士が加害者の逮捕や起訴を決めたり、結果を約束したりすることはできません。


この記事では、警察・検察と弁護士の役割の違いや、捜査の段階ごとに被害者が弁護士へ相談できることを解説します。

ご相談受付中 LINEでご相談する

 

警察・検察・弁護士の役割の違い

 警察にできること

被害に遭ったときは、警察に被害を申告し、被害届や告訴について相談できます。警察は事件を捜査し、被疑者を検挙した場合は、事件を検察庁へ送致します。


捜査の進み具合が気になる場合、身体犯など一定の事件では、警察から捜査状況や被疑者の検挙・処分状況について連絡を受けられることがあります。ただし、捜査への支障などを考慮して情報が提供されるため、被害者が知りたい情報をすべて確認できるとは限りません。

 

検察にできること

事件が起訴されると、検察官は刑事裁判で証拠を示し、被告人が罪を犯したことを立証しようとします。裁判の最後には、事件の内容や証拠を踏まえて、被告人にどのような刑罰を科すべきか意見を述べます。


被害者は、検察官から事情を聞かれたり、処罰についての意見を伝えたりする機会があります。ただし、検察官は被害者個人の代理人ではありません。被害者の希望をそのまま裁判で実現する立場ではなく、証拠に基づいて事件を立証し、刑罰を求める役割を担っています。

 

警察・検察に依頼できないこと

警察や検察に相談しても、被害者の代わりに加害者側と示談交渉をしたり、治療費や慰謝料などの損害賠償を請求したりしてもらえるわけではありません。こうした賠償の問題は、刑事事件の捜査や処分とは別に対応を検討する必要があります。


また、被害者が加害者の逮捕や起訴を希望しても、そのとおりになるとは限りません。逮捕は捜査機関が、起訴・不起訴は検察官が、それぞれ証拠などを踏まえて判断します。被害者は希望や意見を伝えられますが、逮捕や起訴、刑罰の内容を決めることはできません。


示談や損害賠償について相手方と直接やり取りするのが難しい場合や、手続の中で自分の意見をどう伝えればよいか迷う場合は、被害者側の弁護士に相談できます。

 

被害者が弁護士に相談するメリット

弁護士への依頼は必須ではありません。ただ、被害届や告訴状の提出、加害者側との示談交渉、刑事裁判への関与など、被害者自身で対応することに難しさや負担を感じる場面では、弁護士に相談できます。

ここでは、捜査の段階ごとに弁護士へ相談できることを紹介します。弁護士が警察の捜査や検察官の判断を決めることはできませんが、被害者の希望を整理し、手続や相手方への対応を支援します。

弁護士にオンライン相談

捜査前:告訴状の作成や提出を支援してもらえる

  • 被害の経緯や証拠を整理できる
    いつ、どこで、誰から、どのような被害を受けたのかを時系列で整理します。診断書や写真、メッセージ、録音など、手元にある資料のうち何が証拠になり得るか、どのように保管すればよいかも相談できます。

 

  • 被害届を出すときに同行を依頼できる
    警察署で被害を説明することに不安がある場合、弁護士に同行を依頼できることがあります。事前に伝える内容を整理し、警察への説明や手続の確認を支援します。同行の可否や対応範囲は、状況や警察署の運用によって異なります。

 

  • 被害届・告訴状の作成や提出について相談できる

    警察に被害を申告する前に、弁護士へ相談すれば、被害の経緯や手元にある証拠を整理し、今後の手続について助言を受けられます。加害者に処罰を求める意思があり、告訴を検討している場合は、弁護士に告訴状の作成や提出を依頼できます。

    弁護士は、被害の内容や証拠を確認したうえで告訴状を作成し、警察に提出する際には、告訴の内容や処罰を求める理由を説明し、告訴状の受理に向けて警察に働きかけます。また、警察に何をどのように伝えるか、加害者側から連絡があった場合にどう対応するかも相談できます。

関連記事:被害届を出す前に!被害届と告訴の違いと弁護士に相談すべき理由

  • 今後の手続や、警察に伝える内容を確認できる
    警察への相談後にどのような手続が考えられるか、被害について何を伝えるべきかを弁護士と確認できます。あらかじめ説明する内容を整理しておくことで、伝え漏れを防ぎやすくなります。

 

  • 加害者側から連絡が来た場合の対応を相談できる
    加害者本人やその代理人から連絡があった場合、すぐに返事をせず、連絡内容を保存したうえで弁護士に相談できます。相手に何を伝えるか、今後の連絡窓口をどうするかなどを検討できます。

 

警察に被害を申告する前に弁護士へ相談すれば、被害の経緯や証拠を整理し、今後の手続について助言を受けられます。告訴状を提出する場合は、弁護士が被害の内容や証拠を確認したうえで書面を作成し、警察に告訴の内容や処罰を求める理由を説明して、受理に向けて働きかけることもできます。ただし、告訴状の受理や捜査の開始が保証されるわけではありません。

 

 

捜査中:警察・検察への対応や示談交渉を支援してもらえる

被害届や告訴状を提出した後は、警察や検察から事情を聞かれたり、捜査がどこまで進んでいるのか気になったりすることがあります。弁護士には、捜査機関とのやり取りや今後の手続について相談できます。

  • 被害者の意向を整理し、警察・検察への伝え方を相談できる
    処罰を求める気持ちや、捜査機関に伝えたい事情を整理できます。必要に応じて、被害者の意向をまとめた書面を提出する方法も検討できます。ただし、書面を提出しても、捜査や処分の結果が希望どおりになるとは限りません。

 

  • 加害者側から示談を求められた場合、条件や対応を検討できる
    加害者本人や加害者側の弁護士から示談を申し入れられたときは、提示された金額や条件、示談書の内容を確認できます。示談に応じるかどうかは被害者自身が決めることです。弁護士を窓口にすれば、加害者側と直接やり取りする負担を抑えながら、希望する条件を伝えて交渉できます。

 

示談交渉では、相手方の説明や提示条件が妥当かどうかを判断するために、事件の内容や刑事手続、示談の意味を理解する必要があります。相手方の弁護士は加害者の立場から交渉するため、説明を聞いても、その主張が正しいのか、示談に応じた場合にどのような影響があるのか、被害者自身では判断しにくいことがあります。

また、「こちらからも訴える」などと言われて不安を感じる場合も、発言の意味や対応方法は個別の事情によって異なります。

刑事事件専門である須賀法律事務所では、今までの刑事事件の経験を踏まえ、相手方の説明や示談条件を確認し、被害者の意向に沿った交渉を支援することが出来ます。


天秤

捜査後:不起訴処分や刑事裁判、損害賠償に対応できる

捜査が終わると、検察官が起訴するか不起訴にするかを判断します。その後の対応は処分によって異なります。弁護士に相談すれば、被害者として利用できる手続や、損害回復の方法を確認できます。

 

  • 不起訴になった場合:検察審査会への申立てを検討できる
    不起訴処分に納得できない場合は、処分内容や事件の状況を確認したうえで、検察審査会への申立てを検討できます。弁護士には、申立てが可能か、どのような事情や資料を伝えるかを相談できます。ただし、申立てによって必ず起訴されるわけではありません。

 

  • 起訴された場合:刑事裁判への参加を支援してもらえる
    一定の事件では、裁判所の許可を得て被害者参加制度を利用できます。公判への出席や、証人・被告人への質問、意見陳述などを希望する場合、弁護士に手続や参加方法を相談できます。対象となる事件や参加できる範囲には条件があります。

 

  • 損害賠償や慰謝料を求める場合:被害回復の方法を検討できる
    加害者が刑事処分を受けても、治療費や慰謝料が自動的に支払われるわけではありません。弁護士には、示談交渉や民事訴訟など、損害賠償を求める方法を相談できます。事件によっては損害賠償命令制度を利用できる場合もあります。

 

 最後に

被害者が弁護士に依頼することは必須ではありません。ただし、被害届や告訴状を提出する前に相談すれば、被害の経緯や証拠を整理し、告訴状の作成や警察への提出について支援を受けられます。

捜査中は、警察・検察とのやり取りや今後の手続について相談できるほか、加害者側から示談を求められた場合には、条件や示談書の内容を確認し、交渉を任せることもできます。捜査後も、不起訴処分を受けた場合の対応、刑事裁判への参加、損害賠償請求などについて、状況に応じた選択肢を検討できます。

警察・検察は犯罪の捜査や刑事処分を担い、被害者側の弁護士は被害者本人の立場から、告訴や示談、賠償請求、刑事手続への関与を支援します。加害者側とのやり取りや今後の対応に迷ったときは、弁護士への相談を検討し、自分に必要な支援を確認しましょう。

 

よくある質問

Q. 被害者は必ず弁護士を雇わなければなりませんか?

いいえ。弁護士への依頼は必須ではありません。告訴状の作成や示談交渉、損害賠償請求などについて支援を受けたい場合は、弁護士に相談できます。

Q. 弁護士に頼めば、加害者を逮捕・起訴してもらえますか?

弁護士が逮捕や起訴を決めることはできません。逮捕は捜査機関が、起訴・不起訴は検察官が、それぞれ証拠などを踏まえて判断します。弁護士は、告訴状の作成や被害者の意見を伝える手続などを支援します。

Q. 加害者側から示談を求められたら、応じなければなりませんか?

示談に応じる義務はありません。提示された条件や示談書の内容を確認し、応じるかどうかを被害者自身で判断できます。判断に迷う場合は、署名や返答をする前に弁護士へ相談できます。

Q. 弁護士費用を加害者に請求できますか?

弁護士費用を加害者に当然に全額請求できるわけではありません。示談で相手方が費用負担に合意する場合や、民事訴訟で弁護士費用相当額が損害の一部として認められる場合があります。請求できる範囲は、依頼内容や解決方法によって異なります。

 

【記事監修】

須賀翔紀弁護士

弁護士 須賀翔紀

須賀法律事務所 代表弁護士。刑事事件を中心に、幅広い法律分野の相談・依頼に対応。相談者の不安や悩みに丁寧に耳を傾け、状況に応じた解決策を提案。専門的な内容も分かりやすく説明し、迅速かつ誠実な対応を重視。オンラインでの相談・依頼にも対応し、全国からの相談を受付している。

刑事事件でお困りですか?

24時間受付 全国対応
今すぐLINEで相談予約

弁護士が確認次第、ご連絡いたします

© 須賀法律事務所

全国対応|地域別の刑事事件相談ページ

LINEで相談予約24時間受付・全国対応