児童ポルノ禁止法違反事件の弁護に強い法律事務所の選び方

児童ポルノ禁止法違反事件の弁護に強い法律事務所の選び方
須賀 翔紀(弁護士)

監修者:須賀 翔紀(弁護士)

所属弁護士会:東京弁護士会(第61954号)
経歴:刑事弁護・犯罪被害者支援を専門とし、これまでに500件以上を担当。

詳細プロフィール

児童ポルノ禁止法違反の疑いで捜査を受けた場合、どのように弁護士を選ぶかは今後の人生を大きく左右します。

法律の知識だけでなく、実際に同種事件の対応経験を持つ弁護士に依頼することで、早期の身柄解放や不起訴の可能性が高まるでしょう。一方で、専門性を見極めずに依頼してしまうと、適切な弁護活動が行われないおそれもあります。

この記事では、児童ポルノ禁止法違反事件の弁護に強い法律事務所を見極めるための具体的なポイントを解説し、安心して相談できる弁護士選びの基準をわかりやすく紹介します。

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目次

児童ポルノ禁止法違反事件の弁護に強い法律事務所の選び方

児童ポルノ禁止法違反事件の弁護に強い法律事務所の選び方

児童ポルノ禁止法違反事件の弁護を依頼する場合、一般的な刑事事件とは異なる専門的な知識と経験が求められます。なぜなら、この種の事件では示談交渉の難しさ、証拠の特殊性、社会的な影響の大きさといった独特の課題があるからです。

弁護士を選ぶ際には、実績・専門性・評判という3つの軸から総合的に判断する必要があるでしょう。単に「刑事事件に対応」と記載されているだけでは十分とはいえません。どのような基準で法律事務所を評価すればよいのでしょうか。

以下では、児童ポルノ禁止法違反事件に精通した法律事務所を見極めるための具体的なポイントを解説します。

児童ポルノ事件に「強い」と判断できる具体的な実績

法律事務所のホームページには「刑事事件対応」と記載されていても、児童ポルノ事件に特化した実績が示されているかどうかは別の問題です。真に「強い」と判断できる事務所は、具体的な数字や事例を公開している傾向があります。

児童ポルノ事件に対する不起訴率や執行猶予獲得率、前科回避の件数など、定量的な実績を明示している事務所は、その分野での経験の深さを示す指標となるでしょう。実績を明示しているという事実は、それだけその分野に絶対的自信を持っている証明ともいえます。

ただし、これらの数字は一般的な解説の範囲内で示されるものであり、個別の事案における結果を保証するものではありません。

実績を確認する際には、単に事件数が多いだけでなく、どのような結果を導いたのかという質的な側面にも注目しましょう。事務所によっては、解決事例を匿名化して公開しているところもあります。

不起訴処分の獲得件数

不起訴処分は、前科がつかないという点で最も望ましい結果の一つとされています。検察官との交渉力や事件対応の早さが、不起訴獲得に影響を与える可能性があるでしょう。

検察統計によると、2023年度における刑法犯全体(自動車による過失致死傷等及び道路交通法等違反被疑事件を除く)の起訴数は64,695件、起訴猶予等を含む不起訴件数は110,639件です。つまり起訴率36.8%となり、半数以上の被疑者が起訴猶予を含む不起訴処分を勝ちとっています。ここからも適切な対応により不起訴を目指すことは現実的な選択肢といえます。

参照:検察統計調査「罪名別 被疑事件の既済及び未済の人員」

不起訴処分の獲得件数が具体的に示されている事務所は、この分野での実務経験が豊富である可能性を示すものです。事件の内容や証拠の状況により結果は異なるため、件数だけで判断するのは避けるべきですが、弁護士を選ぶ際には重要視すべき項目です。

執行猶予や罰金刑での解決事例

起訴された場合でも、実刑を回避して執行猶予や罰金刑で終結させた事例の件数は、裁判での弁護能力を測る一つの指標となります。特に初犯や単純所持のケースでは、執行猶予が選択される可能性があるとされています。

執行猶予とは、刑の執行を一定期間猶予する制度です。この期間を無事に過ごせば、刑の言い渡しの効力が失われることになります。

裁判での弁護活動では、被告人の反省の態度、再犯防止策、家族のサポート体制などを効果的に主張することが求められるでしょう。こうした情状面での弁護は、弁護士の経験と技量が問われる場面といえます。

刑事事件を専門とする弁護士の在籍

児童ポルノ事件は刑事事件であるため、民事事件を中心に扱う弁護士ではなく、刑事弁護を専門とする弁護士が在籍しているかの確認が重要です。刑事手続きの知識、検察官との交渉経験、裁判対応の実績が必要となるからです。

刑事専門の弁護士を見分けるポイントとしては、経歴の確認が挙げられます。元検察官や元裁判官の経歴を持つ弁護士は、刑事手続きの実務を熟知している可能性があるでしょう。また、刑事弁護の研究会に所属しているかどうかも参考になります。

法律事務所のホームページで弁護士のプロフィールを確認する際には、単に弁護士歴の長さだけでなく、どの分野を中心に扱ってきたかを見ることが大切です。刑事事件の経験が少ない弁護士では、適切な対応ができない可能性があります。

児童ポルノ事件の経験年数と対応件数

児童ポルノ事件に強い弁護士を探すなら、刑事事件全般の経験だけでなく、児童ポルノ禁止法違反事件に特化した経験年数と対応件数を確認する必要があるでしょう。この分野特有の示談交渉、証拠の扱い、裁判での主張方法には専門知識が求められるからです。

令和6年における児童ポルノ事件の検挙数は2,783件で、製造罪が最も多く1,760件、次いで提供・公然陳列罪が636件でした。このように一定数の事件が発生している分野であり、専門的に扱う弁護士も存在します。

参照:警察庁「令和6年における少年非行及び子供の性被害の状況(更新版)」

年間何件程度の児童ポルノ事件を扱っているか、何年間この分野に携わっているかを事務所に確認する方法として、無料相談の際に直接質問することが考えられます。専門性の高い事務所であれば、具体的な回答が得られるはずです。

口コミや相談者の評価を確認する方法

児童ポルノ事件に強い弁護士の見極め方としては、インターネット上の口コミサイト、Google口コミなどを活用して、実際に相談・依頼した人の評価を確認する方法があります。ただし、刑事事件の性質上、詳細な口コミが少ない場合もあることを理解しておく必要があるでしょう。

口コミを見る際の注意点として、投稿時期、具体性、極端な評価の扱い方などを考慮し、総合的に判断することが重要です。匿名の口コミは個人の主観的な感想であり、投稿者と弁護士の相性や事件の内容によって評価が異なる可能性があります。

良い評判も悪い評価も、主観的な感情が含まれている場合があるため、客観的な情報と照らし合わせて判断することが大切です。弁護士との相性を確かめるには、実際に無料相談を利用して直接話してみることをお勧めします。

口コミサイトに掲載されている評価を参考にする場合、複数のサイトを確認し、一つの情報源だけに頼らないようにしましょう。また、相手方から悪意のある書き込みがされている可能性も考慮に入れる必要があります。

避けるべき弁護士の特徴

児童ポルノ事件に強い弁護士を探す際には、「避けるべき」弁護士の特徴も知っておきましょう。

その一つが「費用面の不透明さ」です。事前相談や見積もりの前に、費用面について十分な説明がない場合、あまり信頼できる弁護士とはいえません。費用の総額は事件内容や展開により異なるものですが、その見通しは説明できるはずです。

意図して詳細な説明を避ける、もしくは説明ができない弁護士では、後々トラブルに発展する可能性も高いので注意しましょう。

費用面を含めて、こちらからの質問に応じない、回答がわかりにくいといった弁護士も、やはり安心できません。弁護士に依頼するなら、できるだけ依頼者の気持ちに寄り添ってくれる弁護士を選ぶべきです。早く終わらせたいとばかりに質問に応じなかったり、難しい言葉でわかりにくい回答をしたりする弁護士では、親身になって対応してくれない可能性が高いです。

同様に、説明や根拠もなく、必要以上に「任せてください」と大風呂敷を広げる弁護士も要注意です。

児童ポルノ事件を弁護士に依頼するメリットと解決の見込み

児童ポルノ事件を弁護士に依頼するメリットと解決の見込み

児童ポルノ禁止法違反の疑いが科せられた場合、弁護士に依頼することで得られるメリットは多岐にわたります。逮捕前の相談から裁判まで、各段階で弁護士が適切な対応を行うことで、依頼者にとって有利な結果を目指せる可能性があります。

弁護士に依頼すれば、身柄拘束の回避、早期釈放、不起訴処分、執行猶予付き判決など、様々な形での有利な解決が期待できます。ただし、個別の事情により結果は異なる点に留意が必要です。

逮捕前の相談で身柄拘束を回避できる可能性がある

児童ポルノ事件の疑いが科せられた際、任意の取調べや家宅捜索の段階で弁護士に相談することにより、逮捕を回避できる可能性があります。弁護士が早期に検察官や警察と連絡を取り、出頭意思や証拠隠滅のおそれがないことを示すことで、在宅事件として扱われる場合があるのです。

弁護士が警察署に連絡し、被疑者が自ら出頭する意思を示すとともに、取調べに協力する姿勢を伝えます。弁護士がついていることで、被害児童やその親族への接触といった懸念も払拭され、逃亡の可能性も低いと客観的に判断されやすくなります。

逮捕されないことの重要性は大きく、仕事や学校を続けられること、家族との生活が維持できることなどのメリットがあります。身柄拘束を回避できれば、社会生活への影響を最小限に抑えられるでしょう。

逮捕後の早期釈放に向けた活動が期待できる

児童ポルノ禁止法違反の容疑で逮捕された場合でも、弁護士が勾留請求への意見書提出、勾留決定への準抗告などを行うことで、早期釈放を目指せる可能性があります。逮捕から勾留までの最長23日間という身柄拘束期間を短縮できる場合があるのです。

弁護士は検察官や裁判官に対して、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがないことを主張します。定職があること、同居の家族がいて監督してくれることなどの事情を指摘し、根拠となる資料を提出することで、勾留の回避や早期釈放を目指します。

順調に手続きが進み釈放されると、家族や職場への影響を最小限に抑えられるメリットが生じます。逆に身柄拘束期間が長引けば、会社を解雇されるリスクも高まるため、早期釈放の実現は極めて重要といえるでしょう。

被害者との示談で不起訴を目指すことができる

児童ポルノ事件では被害者が特定できる場合、弁護士が被害者側と示談交渉を行うことで、不起訴処分を獲得できる可能性が高まります。示談成立は検察官の判断に大きく影響を与えるとされています。

児童ポルノの被害者は18歳未満であるため、示談交渉の相手は被害児童の両親となります。弁護士であれば、捜査機関から被害者の両親の了承を得た上で連絡先を教えてもらえるのが通常です。一方、被疑者本人が連絡先を尋ねても、捜査機関は教えないことが一般的です。

示談金の相場は事案によって異なりますが、一般的な場合で30万円から50万円、悪質な場合で100万円から300万円程度とされています。示談書には、被害者側が処罰を求めないといった条項を盛り込むことができれば、不起訴処分の可能性が高まるでしょう。

執行猶予の獲得で実刑を免れる可能性がある

起訴された場合でも、弁護士が情状証人の手配、反省文の作成指導、更生計画の提示などを行うことで、執行猶予判決を獲得し、刑務所に入らずに済む可能性があります。執行猶予が付けば、直ちに刑務所に行く必要はなくなります。

執行猶予が付く条件として、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金を言い渡された場合で、前に禁錮以上の刑に処せられたことがないことなどが挙げられます。裁判官は、犯行の態様が悪質でないこと、結果が軽微であること、動機に酌むべき点があることなどを考慮して判断します。

執行猶予期間中に罪を犯すことなく期間を経過すれば、刑の言渡しの効力が失われます。ただし、執行猶予が付いた場合でも有罪判決であることに変わりはなく、前科がつく点には注意が必要でしょう。

前科を付けないための弁護方針が期待できる

前科が付くことの社会的影響は大きく、就職、資格取得、海外渡航などに影響する可能性があります。弁護士が前科を回避するために取る具体的な方針として、不起訴処分の獲得、起訴猶予の交渉、略式罰金での解決などの選択肢が考えられます。

不起訴処分となれば、刑事裁判は行われず、前科も付きません。前科がつくのは、起訴をされた上で裁判を受け、有罪判決を受けた後、その裁判が確定した時となります。逮捕や起訴をされただけではまだ前科はつかないのです。

弁護士は、被害者との示談交渉を進めるとともに、本人の反省や更生への環境を適切に検察官へ伝えることで、有利な判断を獲得できる可能性を高めます。不起訴処分を獲得できれば、前科が付くことを回避でき、将来の生活や社会的信用を守ることができるでしょう。

児童ポルノ事件を弁護士に相談する時に確認すべき質問項目

児童ポルノ事件を弁護士に相談する時に確認すべき質問項目

弁護士との初回相談は、事件解決の大きな分岐点となります。限られた相談時間を最大限に活用するには、事前準備が不可欠です。

児童ポルノ事件のような刑事事件では、初動対応の遅れが致命的となりかねません。弁護士の実力を見極め、自分の事件の見通しを正確に把握し、今後の対応方針を理解することが求められます

相談時に適切な質問をすることで、弁護士の専門性や相性を判断できるでしょうか。本記事では、初回相談で確認すべき具体的な質問項目を解説します。

過去の解決実績と得意な弁護方針

弁護士に児童ポルノ事件の経験を直接質問することは、実力を見極める第一歩となります。ホームページに掲載された情報だけでは不十分なケースも多いため、面談時に具体的な実績を確認しましょう。

「児童ポルノ事件を何件扱ったことがありますか」「不起訴となった事例はどのくらいありますか」といった質問が有効です。弁護士の回答の具体性や自信の程度から、経験の深さを判断できます。

また、弁護方針についても確認が必要です。示談交渉を重視するタイプか、法廷での弁論を得意とするタイプか、弁護士によって強みは異なります。自分の事件に適した弁護方針を持つ弁護士を選ぶことが重要でしょう。

ただし、ホームページ上の実績表示には注意が必要です。法律事務所全体の実績と、実際に担当する弁護士個人の実績は異なる場合があるためです。担当弁護士本人の経験を確認することをおすすめします。

事件の見通しと想定される期間

自分の事件がどのような結末を迎える可能性があるか、弁護士から見通しを聞くことは極めて重要です。逮捕の可能性、起訴される確率、裁判になった場合の予測など、具体的な質問を準備しておきましょう。

「私の事件は不起訴になる可能性がありますか」「起訴された場合、どのくらいの刑罰が予想されますか」といった質問が考えられます。解決までの期間についても確認が必要です。

刑事事件の流れは、事件発生から判決確定まで段階的に進みます。逮捕後72時間以内の初動対応、検察官への送致、起訴・不起訴の判断、そして裁判へと続く各段階で、それぞれ期間が異なるのです。

一般的に、起訴されてから初公判まで約2か月、自白事件なら結審から判決まで1~2週間程度とされています。ただし、事件の複雑さや争点によって期間は変動します。

なお、弁護士は個別具体的な結果を保証することはできません。あくまで一般的な見通しとして聞く必要があります。断定的な表現で「必ず不起訴になる」などと約束する弁護士には注意が必要でしょう。

担当弁護士との連絡手段と頻度

事件対応中の連絡体制を事前に確認することは、安心して依頼するための重要な要素となります。電話、メール、LINEなど、どの手段で連絡を取れるのか、連絡可能な時間帯はいつか、報告の頻度はどの程度かを質問しましょう。

「事件の進展があった際、どのように報告していただけますか」「緊急時の連絡方法を教えてください」といった確認が有効です。弁護士とのコミュニケーションがスムーズであれば、信頼関係の構築につながります。

刑事事件では、被害者とのやり取りがあるたびに報告する方法や、定期的に連絡する方法など、事務所によって対応が異なります。自分が希望する連絡頻度を伝え、それに応じてもらえるか確認することが大切です。

なお、弁護士からの返信が遅いと感じる場合もあるかもしれません。弁護士は複数の事件を抱えており、緊急度を判断して対応しているため、依頼者が思うほど急ぎではないと判断されることもあります。初回相談時に、返信の目安時間を確認しておくとよいでしょう。

準備しておく資料や情報

相談時や依頼時に弁護士へ提供すべき資料を事前に質問し、準備しておくことで、弁護士の正確な判断を促すことができます。警察からの連絡書類、取調べに関する記録、関連する証拠などを整理しましょう。

児童ポルノ事件などの刑事事件では、警察や検察からの呼び出し状、取調べの日時や内容のメモ、押収された物品のリスト、事件に関連する写真やデータなどが重要な資料となります。可能な範囲で時系列表を作成しておくと、弁護士が事件の全体像を把握しやすくなるでしょう。

「相談時にどのような資料を持参すべきですか」と相談予約時に事務所へ確認する方法も有効です。関係ありそうな資料は、自分で判断せず全て持参することをおすすめします。

弁護士に相談内容を正しく理解してもらうには、不利な事実も含めて正直に全て話すことが重要です。隠し事があると、後で問題となり、適切な弁護活動の妨げとなる可能性があります。弁護士には守秘義務があるため、安心して全ての情報を提供しましょう。

児童ポルノ禁止法違反事件の事案ごとに異なる弁護の進め方

児童ポルノ禁止法違反事件の事案ごとに異なる弁護の進め方

児童ポルノ禁止法違反事件は、行為の内容や被疑者の状況によって、弁護方針が大きく変わります。所持なのか製造なのか、事実を認めているのか争うのか、被疑者が成人なのか少年なのかといった要素により、取るべき対応は異なるのです。

一律の対応では適切な結果を得られません。個別の事案に応じた戦略が求められます

本章では、主な事案類型ごとに弁護の進め方がどう変わるかをご説明します。自分の事案に近い情報を見つけることで、今後の見通しを立てる参考にしていただけるでしょう。

単純所持と製造行為では対応が変わる理由

単純所持と製造行為では、法定刑が異なり、社会的非難の度合いも大きく異なります。

単純所持の場合、自己の性的好奇心を満たす目的での所持に対して1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。一方、製造行為については3年以下の懲役または300万円以下の罰金とされています。

単純所持の場合、初犯であれば執行猶予付き判決の可能性が高いとされています。他方、製造行為は児童に直接働きかけて新たな児童ポルノを作成する行為であるため、より厳しい処分が想定されるでしょう。

製造事犯では逮捕の可能性も高くなります。児童への危害や証拠隠滅の可能性が高いと判断されやすいためです。

このように、行為態様によって弁護方針を変える必要があります。単純所持では早期の示談や情状面の活動が中心となる一方、製造行為では身柄解放活動や保釈請求などの対応も重要になるのです。

事実を認める場合の示談交渉

被疑者が事実を認めている場合、早期に示談交渉を進めることが弁護活動の中心となります。

被害児童が特定できる事案では、示談の成立が不起訴処分獲得の重要な鍵になるとされています。ただし、児童ポルノ禁止法は児童の健全な育成という社会的法益も保護していることから、示談が成立すれば必ず不起訴になるわけではありません。

示談交渉の相手は被害児童の親権者となります。児童は18歳未満であるため、法定代理人である親権者との交渉が必要になるのです。

親権者は自分の子どもが被害に遭ったことから、加害者に対して厳しい処罰感情を抱いていることが多いです。そのため、示談交渉は専門的知識と経験を有する弁護士に依頼するのが望ましいでしょう。

示談交渉では、謝罪の意思を適切に伝えること、相当な示談金を提示すること、再発防止策を示すことなどが重要になります。示談書には被害届を提出しないことや、処罰を求めない意思(宥恕ゆうじょ条項)などを記載することが一般的です。

事実を認める事案では、示談交渉と並行して、性犯罪再発防止のためのカウンセリング受講や贖罪寄付などの情状面での活動も行うことが考えられます。

事実関係に争いがある場合の証拠確認

被疑者が容疑を否認している場合、または一部の事実関係に争いがある場合は、証拠の精査と法的な主張の構築が弁護活動の中心となります。

争点となり得る主な論点は複数あります。18歳未満であることを知らなかった場合の故意の不存在、自己の意思に基づかない所持(送りつけられた場合など)、画像が児童ポルノの定義に該当するか否かといった点が検討されるでしょう。

また、証拠の収集方法に違法性がある場合、違法収集証拠排除の主張を行うことも考えられます。たとえば、令状なしの捜索や、強制・誘導による供述調書の作成があった場合などです。

否認事件では、取り調べへの対応が極めて重要になります。警察や検察の誘導に乗らないよう、一貫した供述を維持することが求められます。少年の場合は特に、大人である警察官の誘導に乗りやすい傾向があるため、弁護士による適切な助言が不可欠です。

否認事件では起訴される可能性が高く、裁判での証拠調べや法廷での主張が必要になります。したがって、捜査段階から慎重な証拠分析と防御活動を展開することが重要になるのです。

少年が関与している場合の手続き

被疑者が20歳未満の少年である場合、成人とは異なる少年法上の手続が適用されます。

少年事件では、全件送致主義が採られており、犯罪の嫌疑がある場合はすべて家庭裁判所に送致されます。家庭裁判所では、家庭裁判所調査官による調査が行われ、少年の性格、環境、行動などが詳しく調べられるのです。

家庭裁判所の審判では、保護処分(保護観察、児童自立支援施設送致、少年院送致)や検察官送致(逆送)などの処分が決定されます。少年事件は刑罰を科すことよりも、少年の更生と健全な育成を重視した手続きとなっています。

少年事件では、環境調整が極めて重要になります。家庭環境の改善、学校との連携、保護者による適切な監督体制の構築などが求められるでしょう。弁護士(付添人)は、少年本人への助言に加え、保護者との協力関係を築きながら環境調整を進めていきます。

また、少年の場合は特に、被害者との示談が処分に与える影響が大きいとされています。審判前に示談が成立すれば、より軽い処分となる可能性が高まります。

少年事件特有の手続きを理解し、更生に向けた具体的な取り組みを示すことが、適切な処分を得るために重要になるのです。

少年事件特有の状況

少年事件では,少年が事の重大性を認識していないケースも多くあります。児童ポルノ事件においては、クラスメイトなどの近しい関係にある人間との間で自分の性器等の写真を送りあうものやSNSで知り合った児童に対して,胸部,性器などの写真を送らせ,これを保存したり,第三者に提供したり,自身のブログやツイッターなどで公開したりする事例が増えています。

自分のご子息が犯罪に加担する危険性を、保護者としては十分に注意する必要があります。

児童ポルノ禁止法違反事件の基礎知識

児童ポルノ禁止法違反事件の基礎知識

児童ポルノに関する事件は、警察による取り締まりが強化され、検挙件数が年々増加しています。所持しているだけでも逮捕される可能性があり、刑罰を受ければ前科が付いて社会生活に大きな影響が出るおそれがあります。

この章では、児童ポルノ禁止法がどのような行為を禁止し、違反した場合にどのような刑罰が科されるのか、一般的な解説として法律の基本的な内容をお伝えします。法律の仕組みを理解することで、自分の置かれた状況を正確に把握し、適切な対応を考える手がかりにしていただければと思います。

法律で禁止されている行為の種類

児童ポルノとは、児童が性的な行為をしている写真や映像、書籍などのことを指します。

児童ポルノ禁止法(正式名称:児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律)は、児童の権利を保護するため、さまざまな行為を禁止しています。

禁止されている主な行為には、製造、提供、公然陳列、所持、運搬、輸入、輸出などがあります。このうち「製造」とは、児童ポルノを新たに作り出す行為を指し、撮影した画像や動画をハードディスクなどの記録媒体に保存する行為も含まれます。「製造」については、遠隔で児童に撮影させデータを送らせる行為も、「児童に姿態をとらせて製造した」と見なされることがあります。

児童ポルノ禁止法では、単に閲覧する行為そのものは、処罰の対象ではありません。

ただし、閲覧の過程で画像や動画を端末にダウンロード・保存した場合は「所持」や「保管」とみなされ、違反行為となる可能性があります。

そのため、単に見ているだけと思っていても、意図せず違法行為に該当する可能性があることには注意しなければいけません。

「提供」とは、特定の者や不特定多数の者に児童ポルノを渡す行為のことです。インターネットを通じて閲覧可能にする行為も提供に該当し、メールで送信する場合も含まれます。「公然陳列」は、不特定多数の者が見ることができる状態にすることを意味し、ウェブサイトにアップロードする行為などが典型例とされています。

平成26年の法改正により、自己の性的好奇心を満たす目的での児童ポルノの所持も処罰の対象となりました。従来は提供目的がある場合のみ処罰されていましたが、単純所持も違法となった点は重要です。さらに、盗撮による児童ポルノ製造罪も新設され、児童に知られることなく撮影する行為も厳しく規制されるようになりました。

これらの行為は、児童ポルノの供給側だけでなく需要側も処罰対象とすることで、児童の権利侵害を防ぐことが目的とされています。

18歳未満が「児童」として扱われる

児童ポルノ禁止法における「児童」の定義は、法律上明確に定められており、18歳に満たない者を指します。性別は問わず、男児も女児も保護の対象となります。

この定義により、高校生や中学生はもちろん、身近な年齢層のほとんどが「児童」の対象となることに注意が必要です。たとえ相手が17歳であっても、18歳の誕生日を迎えるまでは児童として扱われ、法律による保護を受けます。

実務上、画像や動画から被写体の実年齢を正確に判断することは困難な場合があります。外見から年齢を推定する際には、体格や顔つきなどが考慮されますが、個人差も大きいため、年齢の判断は慎重に行われます。

被写体が児童であると知らなかった場合でも、故意が認められる場合には責任を問われる可能性があります。ただし、18歳以上であると合理的に信じる理由があった場合には、故意が否定されることもあるとされています。

年齢の基準日は、撮影時や製造時の年齢で判断されるのが原則です。撮影時に17歳であれば、その後18歳になっていても、その画像は児童ポルノに該当すると考えられます。

違反した場合の刑罰と前科のリスク

児童ポルノ禁止法に違反した場合の刑罰は、行為の態様によって異なります。最も軽い所持罪は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金とされています。

特定の者への提供、製造、運搬、輸入、輸出などの行為は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金となります。盗撮による製造も同様の法定刑です。さらに重い行為として、不特定多数への提供や公然陳列は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又はこれらが併科されることがあります。

有罪判決を受けると前科が付くことになり、この影響は社会生活に長く及ぶ可能性があります。前科が付くことによる代表的なリスクとして、就職や転職の際の不利益が挙げられます。履歴書の賞罰欄に記載しなければならない場合があり、企業側から採用を見送られることも考えられます。

また、一定の国家資格については、罰金以上の刑や禁錮以上の刑を受けた場合に欠格事由に該当し、資格の取得や維持が制限されることがあります。公務員、教員、医師、弁護士などの職業では、前科によって職を失う可能性もあります。

海外渡航に関しても影響が生じることがあります。パスポートの発給が制限される場合があるほか、渡航先の国によってはビザの取得が困難になったり、入国審査で入国を拒否されたりする可能性があります。

前科の記録は検察庁のデータベースに保管され、原則として本人が死亡するまで消えることはありません。ただし、刑法の規定により、刑の執行終了後に一定期間を罰金以上の刑に処されることなく経過すれば、刑の言渡しの効力が失われるとされています。禁錮以上の刑は10年、罰金以下の刑は5年が基準とされています。

児童ポルノ禁止法違反の刑罰

単純所持・保管1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
特定又は少数の者への提供上記目的での製造・所持・運搬・輸出入3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金
不特定若しくは多数の者への提供、陳列上記目的での製造・所持・運搬・輸出入5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金または併科

弁護活動の具体的な流れ

弁護活動の具体的な流れ

児童ポルノ禁止法違反事件で弁護士に依頼すると、逮捕から判決まで、または不起訴処分に至るまでの手続きが時系列で進んでいきます。

刑事事件では、逮捕後の身柄拘束期間が最長23日間と定められており、この間に検察官が起訴・不起訴の判断を下さなければなりません。起訴された場合は刑事裁判となり、最終的に裁判官が判決を言い渡すことになります。

各段階で弁護士がどのような活動を行うかを理解しておくことで、事件への対応がしやすくなるでしょう。

逮捕から起訴までの期間と弁護士の役割

逮捕後、警察は48時間以内に検察官に事件を送致しなければなりません。検察官は送致を受けてから24時間以内に、裁判官に勾留を請求するか判断します。

裁判官が勾留を決定すると、原則10日間の身柄拘束が続き、必要に応じてさらに10日間延長されることがあります。つまり、逮捕から起訴・不起訴の判断まで、最長で23日間の身柄拘束を受ける可能性があるのです。

この期間中、弁護士は警察署で被疑者と接見し、取調べへのアドバイスを行います。また、勾留請求に対する意見書を提出したり、検察官と交渉したりして、早期の身柄解放を目指した活動を展開します。接見禁止命令が出されていても、弁護士とは立会人なしで自由に面会できますので、不安な点を相談することが可能です。

さらに、弁護士は証拠開示請求を行い、捜査機関がどのような証拠を持っているか把握に努めます。この段階での弁護活動が、その後の処分に大きく影響することになります。

取調べへの対応と供述調書の確認

警察や検察官による取調べでは、供述内容が供述調書として記録され、後の裁判で重要な証拠となります。

弁護士は、取調べに臨む前に黙秘権の行使方法や、不利な供述を避けるための注意点をアドバイスします。黙秘権は憲法で保障された権利であり、自己に不利益な供述を強要されることはありません。事案によっては、完全に黙秘するか、一部の質問にのみ答えるかを検討することになるでしょう。

また、供述調書の内容を慎重に確認し、自分の発言と異なる部分があれば訂正を求めることが重要です。調書の内容に納得できない場合は、署名押印を拒否することもできます。

弁護士は取調べの状況を把握し、違法な取調べが行われていないか監視します。誘導的な質問や威圧的な態度があった場合は、捜査機関に抗議し、適切な対応を求めていくことになります。

検察官への意見書や証拠の提出

弁護士は、検察官が起訴・不起訴を判断する前に、不起訴処分を求める意見書を提出します。

意見書では、被疑者が深く反省していること、被害者との示談が成立していること、前科がないこと、家族の監督があることなど、有利な事情を具体的に記載します。児童ポルノ禁止法違反事件では、示談書、反省文、性犯罪再犯防止プログラムへの参加証明、職場の上司からの嘆願書などが有効な証拠となるでしょう。

被害児童やその保護者との示談は、検察官の処分判断に大きな影響を与えます。ただし、被疑者本人が直接交渉することは証拠隠滅のおそれがあるとして認められないため、弁護士が間に入って交渉を進めることになります。

示談が困難な場合でも、贖罪寄付を行ったり、再発防止策を示したりすることで、検察官に反省の姿勢を伝えることができます。この段階での弁護活動が、不起訴処分獲得の鍵を握っているといえるでしょう。

裁判になった場合の弁護方針

起訴された場合、起訴から約1~2か月後に第1回公判期日が開かれます。

公判手続では、まず冒頭陳述が行われ、次に証拠調べ、証人尋問、被告人質問と続き、最後に論告・弁論を経て判決が言い渡されます。弁護士は、各段階で被告人に有利な主張を展開していくことになります。

執行猶予獲得や量刑の軽減を目指す情状弁護では、被害者との示談書、家族による監督誓約書、性依存症の治療記録などを証拠として提出します。また、情状証人として家族に出廷してもらい、今後の監督を誓約してもらうことも効果的です。

否認事件の場合は、検察官の主張する事実を争い、無罪または嫌疑不十分による不起訴を目指します。児童ポルノの被写体が18歳以上だと思っていた場合など、故意がなかったことを立証する必要もあります。

裁判では、検察官が論告で求刑を示し、弁護人が最終弁論で執行猶予や寛大な処分を求めます。判決は、犯罪の軽重、被害の程度、前科の有無、示談の成否、反省の態度などを総合的に考慮して決定されることになるでしょう。

児童ポルノ事件への対応を弁護士に依頼する前に知っておくべき注意点

児童ポルノ事件への対応を弁護士に依頼する前に知っておくべき注意点

児童ポルノ事件への対応を弁護士に依頼する際は、現実的な見通しを持つことが大切です。

弁護士は最善の弁護活動を行いますが、最終的な処分を決めるのは検察官や裁判官であり、必ずしも望む結果が得られるとは限りません。事案の内容、証拠の状況、被害の程度、前科の有無などによって、取りうる弁護方針や期待できる結果は大きく異なります

また、弁護士との信頼関係を損なうような行為は避けなければなりません。虚偽の事実を伝えたり、証拠を隠滅したりすることは、かえって状況を悪化させる可能性があります。

弁護士に依頼しても結果が保証されない理由

弁護士は法律の専門家として最善の弁護活動を行いますが、不起訴処分や執行猶予付き判決などの結果を保証することはできません。

検察官は証拠の内容や事件の悪質性を総合的に判断して起訴・不起訴を決定し、裁判官は提出された証拠に基づいて判決を下します。弁護士はこれらの判断に影響を与えるよう努力しますが、最終的な決定権は捜査機関や司法機関にあります。

同じ児童ポルノ禁止法違反でも、製造・提供・所持といった行為態様の違い、被害児童の人数、前科の有無、示談の成否などによって処分は大きく変わってきます。初犯で単純所持の事案であれば不起訴の可能性がありますが、製造や提供を繰り返していた場合は実刑判決もあり得るでしょう。

弁護士は個別の事情を踏まえて見通しを説明しますが、それはあくまで一般的な傾向に基づく予測であり、確実な結果を約束するものではないのです。

事案によって解決方法が限られる場合

証拠が明確で被害が重大な事案では、弁護活動にも限界があります。

例えば、多数の児童ポルノを製造・提供していた場合、捜査機関がスマートフォンやパソコンからデータを押収しており、客観的な証拠が揃っている場合、事実を争うことは困難でしょう。また、複数の前科がある場合、検察官は起訴する方針を変えない可能性が高くなります。

被害者との示談も、すべてのケースで可能とは限りません。被害児童の保護者が示談を拒否する場合や、連絡先の開示を拒まれる場合もあります。このような状況では、贖罪寄付や性犯罪再犯防止プログラムへの参加など、他の方法で反省の意を示すことになるでしょう。

事案の内容によっては、不起訴ではなく略式起訴による罰金刑、執行猶予ではなく実刑判決という結果になることもあります。弁護士は現実的な見通しを伝え、その中で最善の結果を目指して活動していくことになります。

虚偽の相談や証拠隠滅は依頼を断られる

弁護士に対して事実を偽って相談することは、適切な弁護活動の妨げになります。

虚偽の事実を伝えると、弁護士は誤った前提で弁護方針を立ててしまい、かえって不利な結果を招く可能性があります。また、後から事実と異なることが判明すれば、弁護士との信頼関係が崩れ、依頼を断られることもあるでしょう。

証拠を隠滅したり改ざんしたりする行為は、証拠隠滅等罪という別の犯罪に該当します。刑法第104条により、他人の刑事事件に関する証拠を隠滅した者は、3年以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。

自分の刑事事件の証拠を自ら隠滅しても罪には問われませんが、逮捕の理由となる可能性が高まります。また、他人に依頼して証拠を隠滅させた場合は、教唆犯として処罰される可能性があります。

弁護士は正直な事実関係を前提に、法律に則った適切な弁護活動を行います。事実を隠さず正直に伝え、弁護士の指示に従って対応することが、最善の結果につながる道なのです。

当事務所では、初回無料で法律相談を受け付けております。お気軽にお電話またはLINEにてお問い合わせください。

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