2025/12/10 コラム
不同意性交等罪の判例3選!不起訴・不成立になるケースや示談金相場も解説!

不同意性交等罪は、令和5年7月13日から効力を持つ改正刑法によって創設された規定であり、従前の強制性交等罪を置き換える形で導入されました。
この改正により、同意のない性的行為全般が法的に問題視されるようになっています。疑いをかけられた際には、実際の裁判例を参考にしながら、どのような要件で罪が認められるのか、刑罰の傾向はどうなっているのかを把握することが不可欠です。
本記事では、具体的な判決内容を詳細に検証し、有罪となるケースと無罪・不起訴になるケースの違いを明確にします。加えて、示談交渉の金額目安、逮捕後の手続きの流れ、取るべき初期対応まで、実践的な情報を網羅的にお伝えします。
ご本人やご家族が置かれた状況を客観的に評価し、適切な判断を下すための参考資料としてご活用ください。
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【目次】 |
不同意性交等罪とは?

不同意性交等罪は、2023年7月(令和5年7月)に施行された刑法改正で新設された罪名です。これまでは「暴行・脅迫」が必要だった強制性交等罪・強制わいせつ罪から変わり、相手の同意がない場合に暴力を用いなくても罪が成立するようになり、保護範囲が大幅に広がりました。
本罪は、相手の意思に反して性交等を実行した場合に適用されるもので、個人の性的な自由と自己決定の権利をより手厚く守ることが立法の狙いです。旧法では、暴力的な行為や脅しを用いることが犯罪成立の絶対条件でした。
一方新たに設けられた規定では、こうした直接的な強制手段がなくても、相手が拒否の意思を持つこと、それを表に出すこと、実際に拒否を貫くことが難しい環境を利用して性的行為に及んだ場合にも、罰則の対象となるよう変更されています。
不同意性交等罪の問題点や強制性交との違いや、改正された不同意性交等罪の変更点などは、下記の関連記事をご覧ください。
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同意のない状況での性行為
刑法176条および177条においては、拒否の意思を持つ、示す、貫くことが難しい状態として、合計8種類のパターンが法文上に記されています。
これらいずれかに当てはまる環境で性的行為が実施されれば、本罪が認められる蓋然性が上がります。各パターンは、被害を受けた側が本当の意味で自由に判断できない状況を具体的に表現したものです。
これらは、物理的な力の行使や言葉による威嚇といった古典的な方法に限らず、精神面・身体面で抵抗することが現実的に不可能な状況を広範に包含しています。
実際の運用では、どのパターンに該当するかの判定は個々の事案に応じて丁寧に実施され、被害者側の証言と客観的な状況を示す証拠が総合的に吟味されます。
| 類型 | 概要 |
| 1号:暴行・脅迫 | 身体への直接的な力の行使や危害を加える旨の通告により、拒否の意思決定・表明・実行を妨げる行為 |
| 2号:心身の障害 | 精神面または肉体面の障害が原因で、拒否に関する意思の決定・表明・実行が困難な状態 |
| 3号:アルコール・薬物 | 飲酒や薬剤の作用により、適切な判断や意思の伝達が不可能な状態 |
| 4号:睡眠その他の意識不明瞭 | 眠っている最中や意識がはっきりしない状況で、意思を明瞭に示せない状態 |
| 5号:同意しない意思の形成・表明・全うに支障がある | 想定外の出来事による恐れ・動揺により、精神的に圧迫され拒否の判断ができない状態 |
| 6号:虐待による心理的反応 | 以前からの虐待や長期的な支配構造により、拒む意思を外に出せない精神状態 |
| 7号:経済的・社会的関係の地位に基づく影響力 | 職場での立場や社会的な序列の違いを悪用して、拒絶が実質的に困難な環境を形成すること |
| 8号:拒絶すると不利益を受ける旨の告知 | 拒んだ際に損害を被ると伝えることで、精神的に承諾せざるを得ない環境にすること |
騙したうえでの性行為
不同意性交等罪は、虚偽の情報で相手を誤らせて性的行為に応じさせた状況でも認められる余地があります。もっとも、どんな嘘でも直ちに犯罪になるわけではなく、だましの中身や悪質さの程度で結論が変わる可能性があるということです。
法的な要求事項としては、相手が「誤った認識」を抱かされ、その誤認が原因で拒否の意思を持つ、示す、貫くことが妨げられた状況であることです。
代表的なケースとしては、実際には配偶者がいるにもかかわらず独身と偽って交際関係を築いた後に性的関係を持った場合や、妊娠のリスクに関して事実と異なる説明をして避妊をしないまま行為に及んだ事例などが想定されます。
さらに、医療従事者が治療の一環であると嘘をついて性的な行為を実施した場合も、このカテゴリーに含まれる可能性が極めて高いといえます。
ポイントとなるのは、だましの内容が性的行為への同意判断に直結するかという観点です。
13歳以上16歳未満者との性行為(例外あり)
改正された刑法の中では、13歳~16歳未満の年齢層に対する性的行為についても、特別な取り決めが設定されています。
この年代の者は、性に関する事柄について十分な判断力が育っていないと見なされるため、表面上は本人が了承しているように映っても、基本的には本罪が成立する仕組みになっています。
これは若年者をより強力に守るための法的措置です。ただし、あらゆる状況で犯罪になるわけではなく、行為をした側が相手より5歳以上年上でない状況では、処罰の範囲から除外される免責規定が用意されています。
例を挙げると、15歳の人物と18歳の人物との性的関係は、年の差が3歳なので罪には問われません。反対に、15歳の人物と21歳の人物との性的関係は、年の差が6歳になるため本罪が適用されます。
不同意性交等罪の構成要件や事例については下記の関連記事をご覧ください。
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配偶者間でも不同意性交等罪は成立する
以前は、法律上の夫婦関係にあれば性的な義務が生じるという考え方が社会に浸透しており、配偶者に対する強制的な性行為が法的問題として捉えられにくい実態がありました。
しかし現行の刑法体系では、夫婦であっても本罪が成り立つことが明文化されています。婚姻届を提出した事実は、意思に反する性行為を許容する根拠には一切なりません。
配偶者間でも本罪が認定される法的基盤は、結婚していても一人ひとりの性的な自己決定権は尊重されるべきという現代の人権思想にあります。
婚姻関係にあるからといって、常に性的な要求に応える責任は発生せず、行為ごとに相手の意思確認が不可欠です。現実の事案では、家庭内における暴力行為(いわゆるDV)の延長線上で本罪が争点になる状況が少なくありません。
不同意性交等罪と関係がある犯罪類型
不同意性交等罪と密接に関連している犯罪として、不同意わいせつ罪があります。これは性交等には至らなくても、不同意でわいせつな行為を行った場合に成立する犯罪です。
構成要件は不同意性交等罪とほぼ同様で、8つの類型のいずれかに該当する状況下でわいせつ行為を行えば罪が成立します。
また、監護者わいせつ罪および監護者性交等罪という特別な規定も存在します。これは18歳未満の者を現に監護する者が、その影響力に乗じてわいせつな行為または性交等を行った場合に成立する犯罪です。
親や養父母、施設の職員など、監護する立場にある者が対象となり、たとえ被監護者が表面上同意しているように見えても、立場の濫用として処罰されます。さらに、不同意性交等罪の未遂も処罰対象です。
不同意性交等罪の罰則は?

不同意性交等罪の法定刑は、5年以上の有期拘禁刑と定められています。有期拘禁刑の上限は20年ですので、最も重い場合には20年の拘禁刑が科される可能性があるということです。
この刑の重さは、性的自由という法益を侵害する犯罪であることを反映しています。なお、「拘禁刑」という名称は2025年6月に施行された刑法改正によって導入されたもので、従来の「懲役」と「禁錮」を統合した刑罰です。
また、致死傷結果が発生した場合には、さらに重い刑罰が科されます。不同意性交等の行為により被害者が死亡した場合は無期または6年以上の拘禁刑、傷害の結果が生じた場合は無期または3年以上の拘禁刑となります。
不同意性交等罪の判例3選!

不同意性交等罪に関する裁判例を分析することで、実際にどのような事案で罪が成立し、どの程度の刑罰が科されているのかを具体的に理解できます。
ここでは、法改正後の判例を3つ取り上げ、それぞれの事案の特徴と裁判所の判断を詳しく見ていきましょう。
令和7年4月15日京都地裁 不同意性交等被告事件
1つ目の事件は、当時20歳の被告人が、SNSで知り合った当時13歳の被害者(中学2年生)と性交した事案です。これは改正後初の執行猶予付き判決例として注目されています。
被告人は被害者が16歳未満であることを認識しながら、一緒にホテルに宿泊することを提案し、避妊具を使用せずに性交に及びました。発覚の経緯は、被告人の所持金不足によりホテル料金が支払えなかったことによるものです。
弁護側は罪の成立要件の限定を主張しましたが、裁判所は「被害者を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っている」として刑法177条3項の不同意性交等罪の成立を認めました。
量刑では、犯行の悪質性を認めつつも、年齢差が著しく離れていないこと、不当な手段を用いていないこと、被告人が事実を認めて反省していること、前科がないことなどを考慮し、懲役5年の求刑に対して懲役3年執行猶予5年の判決を言い渡しました。
令和3年5月27日佐賀地裁 強制性交等被告事件
2つ目の事件は、当時刑務官として勤務していた被告人が、SNSで知り合った当時小学6年生(13歳未満)の被害者と性交等に及んだ事案です。
被害者から積極的に誘われたという事情はあったものの、被告人は被害者の年齢や精神的未熟さを顧みず、自己の性欲を満たすために2度にわたりホテルで性交を行いました。
犯行に際して避妊をしておらず、被害者の身体に妊娠等の重大な影響を与える危険性がありました。裁判所は、矯正教育に携わる立場にありながら安易に犯行に及んだ点を厳しく指摘しています。
被害者の母親に200万円を支払って示談が成立していること・前科前歴がないこと・事実を認めて反省の態度を示していること・父親が監督を誓約していることなどを考慮し、懲役5年の求刑に対して懲役3年執行猶予5年の判決を言い渡しました。
令和6年10月15日東京高等裁判所 不同意性交等被告事件
3つ目の事件は、被告人が当時13歳の被害者と性交した事案で、一審で懲役4年の実刑判決を受けた被告人が控訴したものです。
被告人側は、刑法177条3項が憲法13条(性的自己決定の自由)および14条1項に違反すると主張し、被害者との合意があったこと、被害者が比較的性的に成熟していたこと、被害者に処罰感情がないことなどを理由に量刑不当を訴えました。
しかし東京高裁は、16歳未満の年少者は性的行為について有効に自由な意思決定をする能力が十分に身についているとは断定できず、5歳以上年上との性的行為を一律に処罰する本件規定は憲法に違反しないと判断しています。
また、被害者の同意や処罰感情について量刑上大きく酌むべき事情とは認め難いとし、被告人が控訴後に200万円の被害弁償を申し入れたことを考慮しても、原判決の量刑は重過ぎて不当とはいえないとして控訴を棄却しました。
判例から見る不同意性交等罪が不起訴になる主なケース

不同意性交等罪の疑いで捜査を受けても、すべてのケースで起訴されるわけではありません。検察官が起訴しないと判断する「不起訴処分」となる場合があり、その理由はいくつかのパターンに分類できます。
最も一般的な不起訴理由は「嫌疑不十分」です。これは、犯罪の成立を認定するに足る証拠が不十分である場合です。
不同意性交等罪においては、性的行為の事実自体は証明できても、相手の意思に反して実行されたという点の証拠が不十分であれば、この根拠により起訴が見送られるケースが存在します。
次に多いのが「起訴猶予」です。犯罪事実は認められるものの、犯人の年齢、境遇、犯罪後の情状などを考慮して、訴追を必要としないと判断される場合です。
不同意性交等罪においては、被害者との示談が成立し、被害者が処罰を望まない意思を明確にしている場合に、この理由で不起訴となることがあります。
不同意性交等罪における示談金の相場は?

不同意性交等罪における示談金の金額は、事案の内容や被害の程度によって大きく異なりますが、一般的には100万円から300万円程度が相場とされています。
ただし、これはあくまで目安であり、具体的な事案によっては数十万円から1000万円を超える場合まで、幅広い金額設定がなされています。
示談金の額を決定する主な要因としては、まず犯行の態様と悪質性です。暴力的な手段を用いた場合や、犯行が計画的である場合、複数回にわたる犯行である場合などは、示談金が高額になる傾向があります。
次に重要なのは、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの精神疾患を発症した場合や、身体的な傷害が残った場合、通院が必要となった場合などの被害者が受けた精神的・身体的被害の程度です。その治療費や慰謝料を含めて示談金が高額になります。
示談を成立させることは、不起訴処分や執行猶予付き判決を得るために極めて重要です。不同意性交等罪の慰謝料についての詳細は下記の関連記事をご覧ください。
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不同意性交等罪で逮捕された場合の流れは?

不同意性交等罪の疑いで逮捕された場合、その後の刑事手続きは法律で定められた流れに従って進行します。逮捕されると、まず警察署に連行され、最大48時間の身柄拘束です。
この間、警察官による取り調べが行われ、弁解の機会が与えられます。48時間以内に、警察は事件を検察官に送致するか、釈放するかの判断をしなければなりません。
検察官に送致されると、検察官は送致を受けてから24時間以内(逮捕から通算して72時間以内)に、裁判官に勾留請求をするか、釈放するかを決定します。
勾留請求が認められると、最初は10日間の勾留が決定され、さらに捜査が必要な場合は最大10日間の延長が認められることがあります。
つまり、身柄を拘束されるのは、逮捕から最長23日間です。勾留期間が満了するまでに、検察官は起訴するか不起訴にするかを決定します。
逮捕された場合のリスクとは?

逮捕理由が不同意性交等罪である場合、刑罰を受ける可能性があることはもちろんですが、それ以外にも様々な社会的・経済的なリスクが生じます。
これらのリスクは、たとえ最終的に不起訴や無罪となった場合でも、完全には回避できないことがあります。最も深刻なリスクの一つは、社会的信用の失墜です。不同意性交等罪は性犯罪であり、社会的な非難が極めて強い犯罪類型です。
逮捕の事実が報道されれば、実名や顔写真がメディアやインターネット上に拡散され、半永久的にデジタルタトゥーとして残る可能性があります。
職業上の影響も重大です。逮捕により長期間職場を離れることになれば、解雇や懲戒処分の対象となる可能性が高まります。
特に公務員、教員、医師、弁護士などの資格職については、有罪判決が確定すれば資格を失う可能性があります。家族関係への影響も無視できません。配偶者から離婚を求められることがあり、親権や面会交流にも影響が及びます。
不同意性交等罪が不成立になる可能性もある?

不同意性交等罪の成立には、性交等の事実だけでなく、それが「不同意」であったこと、すなわち8つの類型のいずれかに該当する状況であったことの立証が必要です。
この要件が満たされない場合や、立証が不十分な場合には、罪が不成立となる可能性が出てきます。防御の方向性を考える上で重要なことは、判決が不起訴処分や無罪となるケースを理解することです。
不同意性交等罪が不成立となる主な理由は、同意の存在が認められる場合です。性交等の事実は争いがなくても、それが双方の真摯な同意に基づくものであったと認定されれば、犯罪は成立しません。
また、8つの類型のいずれにも該当しないと判断される場合も、罪は成立しません。検察官の立証が不十分な場合も、無罪となります。
刑事裁判では「疑わしきは被告人の利益に」という原則があり、合理的な疑いを超える証明がなされない限り、有罪にはならないのです。
不同意性交等罪の起訴率や、不起訴処分になるためにできることなどは下記の関連記事をご覧ください。
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被害者の供述に矛盾がある
不同意性交等罪の事件では、被害者の供述が最も重要な証拠となることが多くあります。しかし、被害者の供述内容に重大な矛盾や不合理な点が認められる場合、その信用性が疑われ、結果として無罪判決や不起訴処分につながる可能性も出てくるのです。
矛盾した供述には様々なパターンがあります。例えば、犯行日時や場所についての供述が時期によって変遷している場合、当初の供述と後の供述で事実関係が異なる場合などです。
また、被害者の供述内容が客観的証拠と明らかに矛盾している場合も、信用性を大きく損ないます。防犯カメラの映像、通話記録、位置情報などの客観的証拠と供述が整合しないケースです。
ただし、供述に細かな食い違いがあるからといって、直ちに信用性が否定されるわけではありません。人間の記憶は完璧ではなく、特に恐怖や強いストレスを感じた出来事については、記憶が曖昧になったり、時系列が混乱したりすることは十分にあり得ます。
同意があったことの物的証拠
性交等について双方の同意があったことを示す物的証拠が存在する場合、それは被告人にとって極めて有利な証拠となります。
不同意性交等罪の成立を阻却する決定的な証拠となり得るため、早期にこうした証拠を収集・保全することが不可欠です。最も強力な証拠となるのは、当事者間のメッセージのやり取りです。
LINEやメール、SNSのダイレクトメッセージなどで、性交渉についての合意が明確に示されている場合や、行為後に被害者側から感謝や親密な内容のメッセージが送られている場合などは、同意の存在を強く推認させます。
写真や動画も重要な証拠となり得ます。当事者が行為の前後に親密な様子で撮影された写真や、自発的に親密な行為に及んでいることが記録された映像などは、同意があったことを示す有力な証拠です。
第三者の証言も物的証拠に準じる重要性を持ちます。行為の前後に当事者が親密な様子であったことを目撃した人物がいれば、その証言は同意の存在を裏付けるでしょう。
不同意性交等罪の疑いをかけられた時の対処法!

不同意性交等罪の疑いをかけられた場合、初動の対応が極めて重要です。誤った対応をしてしまうと、たとえ無実であっても不利な状況に陥る可能性があります。適切な対応を取ることで、早期の事件解決や有利な処分を得られる可能性が高まるでしょう。
弁護士へすぐに相談する
不同意性交等罪の疑いをかけられた場合、最も優先すべき対応は、できる限り早く弁護士に相談することです。逮捕前であれば自ら弁護士事務所を訪問して相談できますし、逮捕後であれば当番弁護士制度を利用するか、家族に依頼して私選弁護人を選任してもらうことができます。
弁護士に早期に相談する理由は複数あります。第一に、刑事手続きに関する専門的なアドバイスを受けられることです。取り調べでどのように対応すべきか、どのような供述をすべきか、あるいは黙秘すべきかといった判断は、法的知識なしには適切に行えません。
第二に、弁護士は被疑者の権利を守る役割を果たします。違法な取り調べが行われていないか監視し、不当な身柄拘束に対しては準抗告などの法的手段を講じる役割です。
第三に、早期の段階から弁護活動を開始することで、有利な処分を得られる可能性が高まります。不同意性交等罪を疑われた場合に、弁護士に相談するメリットなどは下記の関連記事をご覧ください。
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不同意性交等罪の疑いをかけられたら弁護士にすぐ相談すべき?相談することで得られるメリットについても徹底解説!
同意証拠を集める
不同意性交等罪の疑いをかけられた場合、性交等について相手方の同意があったことを示す証拠を早急に収集・保全することが重要です。
時間が経過すると証拠が失われたり、アクセスできなくなったりする可能性があるため、できるだけ早い段階で証拠を確保する必要があります。
まず最優先で行うべきは、スマートフォンやパソコンに保存されているメッセージやメールのバックアップです。LINEのトーク履歴、メール、SNSのダイレクトメッセージなど、相手方とのやり取りを漏れなく保存します。
特に、性交渉についての合意を示す内容や、行為後の親密なやり取りは重要な証拠となります。警察の捜索により携帯電話が押収される可能性もあるため、可能であればクラウドサービスなどに別途バックアップを取っておくことが望ましいでしょう。
写真や動画も重要な証拠です。第三者の証言も有力な証拠となります。これらの証拠収集は、必ず弁護士の助言を得ながら行うべきです。
示談を最優先にする
不同意性交等罪の疑いをかけられた場合、被害者との示談を成立させることは、最も効果的な防御戦略の一つです。示談が成立すれば、不起訴処分を得られる可能性が大幅に高まりますし、起訴されたとしても執行猶予付き判決を得られる可能性が高くなります。
したがって、示談交渉を最優先の課題として位置づけ、早期に着手することが必須です。示談交渉は必ず弁護士を通じて行わなければなりません。
被疑者本人が被害者に接触することは、証拠隠滅や口封じと疑われ、かえって状況を悪化させます。示談交渉では、まず謝罪の意思を真摯に伝えることが出発点です。
示談金の金額については、被害者側の要求額と支払能力のバランスを考慮しながら、弁護士が適切な金額を提示し、交渉を進めます。示談書には、示談金の額、支払方法に加えて、「宥恕条項」を盛り込むことが重要です。示談交渉は時間との勝負でもあります。
戦術的な黙秘を行う
取り調べでは「何を話すか・何を黙るか」の判断も求められます。憲法と刑事訴訟法で黙秘権が保障されており、供述を強制されることはありません。
この黙秘権を戦略的に使うことで、自分に不都合な供述調書の作成を防ぎ、証拠不十分による不起訴を目指すことができます。
黙秘権の行使には、完全黙秘(すべての質問に答えない)と部分黙秘(一部の質問にのみ答える)があります。どちらを選択すべきかは、事案の内容や証拠の状況によって異なります。
証拠不十分で不起訴となる可能性を残すためにも、黙秘は有効です。ただし、黙秘権の行使は慎重に判断すべきです。
事案によっては、積極的に事実関係を説明し、同意があったことを主張する方が有利な場合もあります。どのような対応を取るべきかは、必ず弁護士と十分に相談した上で決定すべきです。
不同意性交等罪についてのご相談は「須賀法律相談事務所」へ!

ここまでご説明してきた通り、不同意性交等罪は従来よりも広い範囲で処罰される可能性があります。判例を分析すると、酩酊状態や心理的支配など、暴行・脅迫以外の状況でも罪が成立することが明らかです。
しかし、同意の存在を示す証拠がある場合や被害者供述に矛盾がある場合には、不起訴や無罪となる可能性もあります。最も重要なのは、早期に専門家のアドバイスを受け、示談交渉や証拠収集などの適切な対応を取ることです。
須賀法律相談事務所は、刑事事件に精通した弁護士が在籍し、不同意性交等罪をはじめとする性犯罪事件について豊富な経験と実績を有しています。
逮捕前の段階からご相談いただくことで、逮捕の回避や早期の事件解決を目指した戦略的な弁護活動が可能です。
逮捕後であっても、迅速に接見に伺い、取り調べへの対応方法をアドバイスするとともに、被害者との示談交渉や証拠収集など、あらゆる角度から最善の弁護活動を行います。一人で悩まず、まずはお気軽にお問い合わせください。



