コラム

2023/12/23 コラム

執行猶予付き判決と実刑判決の違いは何か?執行猶予が付く条件とは!?

 

逮捕のイラスト
【執行猶予付き判決と実刑判決】

刑事事件の判決には、禁錮や懲役などの様々な刑罰があります。

執行猶予付き判決とは、罰金の支払いや刑務所への収容が一定期間猶予される判決をいいます。

「懲役1年 執行猶予3年」という判決であれば、判決が出てすぐに刑務所に収容されることはなく日常の生活を送ることができます。3年の執行猶予期間中に何の犯罪も侵さずに過ごすことができれば懲役1年という刑罰を受けずにすみます。

※執行猶予期間が満了したとしても前科としては残ってしまいます。

他方、執行猶予がつかない判決を実刑判決といいます。

実刑判決は言い渡されて直ちに刑務所に収容されます。

 

【執行猶予付き判決の条件】

①判決が「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」の場合(刑法25条1項)

殺人罪などに科される死刑判決には、執行猶予を付けることができません。

②被告人の状況

被告人に前科がなかったり、もし前科があっても罰金刑以下の刑であった場合には、執行猶予が付く可能性があります(刑法25条1項1号)。

また、過去に禁錮以上の刑に処せられたとしても、5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがなければ、執行猶予が付く可能性があります(刑法25条1項2号)。

 

【執行猶予が取り消される場合】

執行猶予期間中に罪を犯してしまうと、執行猶予が取り消されてしまうことがあります。

(1)必要的取消のケース

次に該当する場合には、執行猶予の言渡しを取り消さなければなりません(刑法25条)。

猶予の期間内に更に罪を犯して禁錮以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき(1号)
猶予の言渡し前に犯した他の罪について禁錮以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき(2号)
猶予の言渡し前に他の罪について禁錮以上の刑に処せられたことが発覚したとき(3号)

 

(2)裁量的取消のケース

次に該当する場合には、執行猶予の言渡しを取り消すことができます(刑法26条)。これらの場合には裁判官の裁量で任意に取り消されます。

猶予の期間内に更に罪を犯し、罰金に処せられたとき(1号)
保護観察に付せられた者が遵守すべき事項を遵守せず、その情状が重いとき(2号)
猶予の言渡し前に他の罪について禁錮以上の刑に処せられたことが発覚したとき(3号)

 

【執行猶予中に気を付けること】

執行猶予中に特に、罪を犯さないように注意しましょう。

新たな罪で判決が下されれば、執行猶予が取り消される可能性が非常に高いです。

実刑判決が不服の場合には控訴などの対応も可能です。

控訴には期間制限がありますので、早急に弁護士に依頼をすることをお勧めします。

お問い合わせは電話もしくはLINEにてお待ちしております。

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