解決事例

2026/10/29 解決事例

【詐欺罪】特殊詐欺の共犯として逮捕されたが不起訴となった事例

【詐欺罪】

(詐欺)
第二百四十六条 

  人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の拘禁刑に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

(共同正犯)
第六十条 二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。

引用:刑法 | e-Gov 法令検索

 

ご相談の経緯(ご家族からのご相談)

家族が弁護士に相談している様子

知人から頼まれて銀行口座を貸したり、荷物を受け取ったりしていたところ、特殊詐欺事件に関与した疑いで逮捕され、ご家族からご相談をいただきました。

ご本人は、知人の依頼に応じて行動したこと自体は認めていましたが、それらが詐欺に関係する行為であるとは知らず、犯罪に加担する意思もなかったと説明していました。

しかし、捜査機関からは、口座の貸与や荷物の受け取りといった行為が特殊詐欺に関係していると疑われていました。

詐欺に関与しているとは知らなかったとしても、実際に犯罪に利用された行為をしていれば、共犯として捜査の対象となることがあります。

ご家族は、ご本人が詐欺の共犯として処罰されてしまうのではないかと強く心配されていました。

 

弁護活動の内容

① 当時のやり取りを精査し、詐欺の認識がなかったことを裏付ける事情を整理

本件では、ご本人が口座の貸与や荷物の受け取りを行ったこと自体ではなく、それらの行為が詐欺に関係していると認識していたかどうかが重要な争点となりました。

詐欺罪の共犯が成立するかどうかを判断するうえでは、本人がどのような認識で行動していたのかが重要です。

そこで弁護士は、知人から依頼を受けた経緯や当時のやり取りの記録を一つずつ確認しました。

ご本人の説明だけに頼るのではなく、客観的な記録と照らし合わせながら、依頼を受けた際の状況や行動の経緯を丁寧に整理しました。

 

② 取調べへの対応をサポートし、不正確な供述調書の作成を防ぐ

特殊詐欺事件では、本人が犯罪への関与を否定していても、捜査機関から詐欺の認識や他の関係者とのつながりについて厳しく追及されることがあります。

また、取調べでの質問の仕方や本人の受け答えによっては、実際の認識とは異なる内容が供述調書に記録されてしまうおそれもあります。

そこで弁護士は、ご本人に対して取調べでの対応方法を具体的に助言しました。

特に、記憶が曖昧な部分について無理に答えたり、捜査官の説明に安易に同調したりしないよう注意を促しました。

そのうえで、ご本人の認識が正確に伝わり、客観的な事実と矛盾する不正確な供述が記録されないよう、継続的にサポートしました。

 

③ 詐欺の故意・共謀を裏付ける証拠がないことを意見書で主張

当時のやり取りや行動の経緯を精査した結果をもとに、詐欺の故意や共謀を裏付ける証拠が乏しいことを整理し、

単に「詐欺だとは知らなかった」という本人の説明を伝えるだけではなく、客観的な事情を踏まえ、詐欺の共犯として処罰するための証拠が十分ではないことを意見書で詳細に主張しました。

犯罪に利用された行為をしたという事実だけで、直ちに詐欺の共犯が成立するわけではありません。

本件では、ご本人の認識と共謀の有無を慎重に検討する必要があることを、捜査機関に対して訴えました。

 

結果|嫌疑不十分による不起訴処分

弁護活動の結果、詐欺の故意や共謀を裏付ける証拠が乏しいとして、嫌疑不十分による不起訴処分となりました。

嫌疑不十分とは、犯罪の疑いが完全になくなったという意味ではなく、起訴して有罪を立証するための証拠が十分ではないと判断された場合の不起訴理由です。

本件では、口座の貸与や荷物の受け取りを行った事実があったものの、ご本人が詐欺に関与する認識を持っていたことや、他の関係者と共謀していたことを裏付ける証拠が十分ではないと判断され、刑事裁判にかけられることなく事件が終了しました。

 

弁護士からのひとこと

弁護士

特殊詐欺事件では、「受け子」や「出し子」など、犯罪組織の末端に位置する役割を担ったとして、詐欺の共犯に問われるケースがあります。

なかには、知人から頼まれた仕事を引き受けただけで、詐欺に関与しているとは知らなかったと訴える方もいます。

しかし、「知らなかった」と説明するだけで、詐欺の疑いが晴れるわけではありません。

捜査機関は、依頼を受けた経緯、報酬の有無、行動の不自然さ、関係者とのやり取りなど、さまざまな事情から本人の認識を判断します。

そのため、詐欺の認識がなかったことを主張する場合には、本人の説明と客観的な証拠を丁寧に照らし合わせ、当時どのような状況にあったのかを具体的に示すことが重要です。

また、逮捕後の取調べで作成された供述調書は、その後の刑事手続に大きな影響を与える可能性があります。

身に覚えのない共犯関係を疑われた場合には、早い段階から弁護士の助言を受け、取調べへの対応と証拠の整理を進めることが大切です。

 

【記事監修】

須賀翔紀弁護士

弁護士 須賀翔紀

須賀法律事務所 代表弁護士。刑事事件を中心に、幅広い法律分野の相談・依頼に対応。相談者の不安や悩みに丁寧に耳を傾け、状況に応じた解決策を提案。専門的な内容も分かりやすく説明し、迅速かつ誠実な対応を重視。オンラインでの相談・依頼にも対応し、全国からの相談を受付している。

解決事例一覧へ

刑事事件でお困りですか?

24時間受付 全国対応
今すぐLINEで相談予約

弁護士が確認次第、ご連絡いたします

© 須賀法律事務所

全国対応|地域別の刑事事件相談ページ

LINEで相談予約24時間受付・全国対応