2023/03/28 コラム
未成年との性行為で犯罪になるのは何歳まで?逮捕された後の流れや慰謝料の相場も解説!
「未成年との性行為は犯罪になるの?」「同意があってもダメ?」
・マッチングアプリで過去に関係をもった女性が未成年だったかもしれない・・・
・交際相手が未成年である
・児童買春(パパ活)をした
今回はこれらの事例についてお答えしていきます!
未成年との性行為で犯罪になるのは何歳まで?
気付かぬうちに関係を持った人が実は未成年だったことも起こり得るでしょう。
ここでは、未成年との性行為で犯罪になるのは何歳なのかを詳しく解説していきます。
18歳未満の未成年との性行為は犯罪
18歳未満の未成年者との性的行為は、各都道府県が定める青少年保護育成条例(一般に「淫行条例」と呼ばれています)に違反する可能性があります。
この条例は都道府県ごとに独自に制定されており、行為が行われた地域の条例が適用されます。
例えば、東京都内で18歳未満の青少年と性的行為を行った場合、東京都の青少年保護育成条例が適用されます。
東京都の条例では、青少年との「みだらな性行為」や「性交類似行為」が禁止されています。
ここでいう「みだらな性行為」とは、相手を自分の欲望を満たすための対象としてのみ扱っていると判断されるような行為を指し、性交やアナルセックス、フェラチオなどが含まれます。
東京都の条例違反に対する罰則は、1か月から2年以下の懲役、または100万円以下の罰金と定められています。
また、東京都の条例では金銭やその他の品物の授受は犯罪成立の要件とはなっていませんが、他の都道府県では条例違反の成立要件として金品の授受を含めている場合もあります。
成人を迎えた18歳との性行為は同意があれば犯罪ではない
成人年齢を迎えた18歳との性行為は、基本的に犯罪には該当しません。
これは高校生であっても18歳に達していれば、法律上は児童や未成年とはみなされないため、児童買春の罪や各都道府県の淫行条例が適用されないからです。
ただし、重要な点として、成人しているからといって、相手の同意なく性行為を行った場合は別の犯罪に問われる可能性があります。
具体的には、同意のない性行為は不同意性交等罪や不同意わいせつ罪として処罰の対象となります。
年齢に関わらず、性的行為には必ず相手の同意が必要であることを認識しておくことが大切です。
18歳未満だと知らなかった場合は犯罪にならない可能性がある
18歳未満の未成年者と性行為を行うと、各都道府県が定める青少年保護育成条例などによって処罰される可能性があります。
しかし、こうした行為が犯罪として成立するには「故意」の存在が重要な要素となります。
「故意」とは、自分の行為が犯罪となることを認識しながらも、あえてその行為を行うことを指します。
未成年との性行為においては、特に相手の年齢を知っていたかどうかが故意の有無を判断する重要なポイントになります。
例えば、児童買春は「18歳未満の男女に対して金銭的な援助をして、対価として性的行為をする」という犯罪ですが、これが成立するためには、行為者が相手が18歳未満であることを認識した上で実行することが必要です。
具体的には、相手から「私は17歳です」と明確に告げられていた場合、行為者は相手が18歳未満であると知っていたと判断され、児童買春罪の「故意」が認められ、犯罪が成立するでしょう。
一方で、「18歳未満とは知らなかった」という主張が認められれば、未成年との性行為であっても犯罪にならない可能性があります。
例えば、相手から偽造された身分証明書を見せられるなど、18歳以上だと信じるに足る特別な事情があった場合は、この主張が認められやすくなります。
故意があったかどうかの判断は、相手の容姿や言動、行為者が行った年齢確認の方法など、状況に関するあらゆる事情を総合的に考慮して行われます。
淫行とは?
心身の未成熟な未成年と、性的欲求を満たす目的の「性行為」「性交類似行為」を意味します。
性交類似行為には口腔性交や肛門性交も含まれます。
淫行の罰則は 2年以下の懲役または100万円以下の罰金(東京都の場合) です。
※罰則は各都道府県によって違うので確認してみてください。
淫行は青少年健全育成条例で禁止されているため、たとえ合意があっても犯罪は成立します。
しかし、以下のケースでは淫行に当たらない可能性があります。
- 結婚前提の交際をしていて、お互いの親が認めている
- お互いの年齢が近い
- 性行為をしない普通のデートも重ねている
相手が未成年だと知らなかった場合も、故意がないため犯罪が成立しない可能性があります。
しかし「未成年かもしれない」と少しでも疑いをもっていた場合は未必の故意と認められて犯罪が成立する可能性があります。
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そんな場合は早急に弁護士に相談することをおすすめします。
パパ活した相手が未成年だったらどうなるのか
最近、よく耳にするパパ活ですが、食事のみの関係や身体の関係まで様々なケースがあるかと思います。
肉体関係がないパパ活は、年齢や金銭の受け渡しに関係なく犯罪にはなりません。
しかし、肉体関係のあるパパ活は、相手が未成年の場合は児童買春罪となり、罰則は 5年以下の懲役又は300万円以下の罰金 です。
パパ活の相手が成人であったとしても、暴行または脅迫を用いて、相手の意思に反して性行や性交類似行為をした場合は強制性交等の罪に問われる可能性があります。
実際にはお互い同意のうえでの性交だとしても、パパ活相手の女性が、家族や交際相手にパパ活がバレてしまって「無理やりやられた」と嘘をつくことや、パパ活での関係悪化などによる腹いせで警察に虚偽の通報をされるケースも少なくありません。
また、相手が既婚者だった場合、配偶者から慰謝料を請求されるケースもあり得ます。
未成年との性行為で逮捕され実名報道されることはある?
ここでは、未成年との性行為で逮捕されてしまったときに実名報道されることがあるのか、詳しく解説していきます。
淫行による検挙は決して珍しくないケース
警察庁の統計によれば、児童買春、児童福祉法違反、青少年保護育成条例違反に関する被害児童数および検挙状況は、近年次のように推移しています。
被害児童数は、平成28年に1,814人、平成29年に1,823人、平成30年に1,715人、令和元年に1,754人、令和2年に1,531人、令和3年に1,504人となっています。
検挙件数については、平成28年は2,371件、平成29年は2,580件、平成30年は2,555件、令和元年は2,629件、令和2年は2,409件、令和3年は2,330件と推移しています。
また、検挙人員は平成28年が1,936人、平成29年が2,057人、平成30年が2,010人、令和元年が2,037人、令和2年が1,818人、令和3年が1,700人となっています。
令和3年においては、被害児童数、検挙件数、検挙人員のいずれも前年を下回る結果となりました。
しかし、検挙件数は毎年2,000件以上で推移しており、こうした事案で検挙されることが決して珍しくないことがわかります。
淫行で起訴される確率
令和4年の検察統計調査によれば、青少年保護育成条例違反事件の総数は2,090人にのぼり、そのうち逮捕された人数は561人となっています。
これは全体の約26.8%が逮捕されている計算になり、言い換えれば約4人に1人が逮捕されているという状況です。
(参考:「罪名別 既済となった事件の被疑者の逮捕及び逮捕後の措置別人員」(政府統計の総合窓口))
淫行による検挙で実名報道されるリスクもある
実名報道の基準は法律で明確に定められているわけではありませんが、一般的に実名報道されやすい事件の特徴があります。
例えば、加害者が公務員や医師など社会的に高い倫理感が求められる職業に就いている場合や、特殊詐欺や殺人といった悪質性・重大性の高い事件の場合、また逮捕に至ったケースなどは実名で報道される可能性が高くなります。
淫行は社会全体で守るべき児童を対象とした性犯罪であるため、社会的な関心が大きく、実名報道されるリスクはある程度高いと考えておくべきでしょう。
一方で、加害者と被害者の年齢が近い場合や、加害者の実名が報道されることによって被害者が特定されてしまう恐れがあるようなケースでは、報道機関の配慮により実名報道される可能性は低くなる傾向があります。
未成年との性行為で逮捕された後の流れや慰謝料
ここでは、未成年との性行為で逮捕された後の流れについて詳しく解説していきます。
逮捕された後の流れ
淫行で逮捕された場合、まず原則として48時間以内に警察による取り調べが行われ、その後検察官に送致されます。
検察官送致後は24時間以内に検察官による取り調べが行われます。
この段階で起訴または釈放の判断に至らず、検察官が引き続き捜査の必要があると判断した場合は、裁判官に勾留が請求されます。
裁判官が勾留を認めると、原則として10日間、延長されれば更に10日間、最長で20日間の身柄拘束が続きます。
この勾留期間満了までに起訴または不起訴の決定がなされます。
起訴された場合は、起訴から約1か月~1か月半後頃に刑事裁判が開かれ、結審するまで審理が続きます。
単純な自白事件であっても、起訴から判決までは少なくとも2か月程度かかることが多く、保釈されない限り身柄拘束が継続することもあります。
逮捕から判決までの流れをまとめると次のようになります。
- 逮捕後48時間以内:警察による取り調べ、検察官へ送致
- 送致後24時間以内:検察官による取り調べ、勾留請求
- 勾留決定:最長20日間の身柄拘束
- 勾留期間中:起訴または不起訴の決定
- 刑事裁判:結審まで審理継続
逮捕後の流れについて詳しくはこちらをご覧ください。
淫行における示談成立に必要な慰謝料の相場
精神的苦痛の大きさを具体的な金額で表すことは難しいため、慰謝料の額に明確な相場はなく、個々の事件の状況によって異なります。
淫行の場合、被害者は18歳未満の未成年であるため、基本的に示談交渉の相手方は児童の保護者となります。
そのため、慰謝料の額は最終的に児童の保護者が納得できるかどうかによって大きく左右されることになります。
未成年との性行為で逮捕される前にまずは弁護士への相談がおすすめ
逮捕されると長期間の身体拘束を受けるおそれがあります。
このような事態を避ける一つの手段として「自首」があります。自首をお考えの場合は、まずは経験豊富な弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談することで、自首を優先すべきケース、自首を見送るべきケース、あるいは示談交渉を先に進めるべきケースなど、状況に応じた最適な対応を見極めることができます。
また、必要に応じて弁護士が自首に同行してくれるケースもあります。
自首をした場合、その後すぐに18歳未満の方との性行為について取り調べが始まります。
取り調べへの対応についても、あらかじめ弁護士に相談しておくことが望ましいでしょう。
重要な点として、自首は捜査機関に犯人が発覚してしまうと法的に成立しなくなります。
そのため、できるだけ早く弁護士に相談して、今後の対応を検討されることを強くお勧めします。
未成年との性行為で逮捕される心配がある方は須賀法律事務所へ
未成年との性行為は、たとえ合意があっても青少年保護育成条例や児童買春禁止法により処罰対象となります。
統計では毎年2,000件以上の検挙があり、約4人に1人が逮捕される現実があります。
逮捕されると最長20日間の身柄拘束や実名報道のリスクがあり、起訴されれば更に長期間の拘束が続くことも。
18歳未満と知っていたかどうかという「故意」が重要な判断基準となります。
万が一このような問題に直面した場合は、自首や示談交渉など状況に応じた対応が必要です。
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