2025/03/30 コラム
「執行猶予中でも海外旅行はできる?パスポートの取得条件と注意点を分かりやすく解説!
「執行猶予中だけど、どうしても海外に行きたい」「パスポートって取れるの?」
そんな疑問を持っている方は少なくありません。まず結論から言うと、執行猶予中であっても、法律上はパスポートを取得できる可能性があります。
ただし、これはあくまで「可能性」の話。現実には多くの制限がかかるため、実際に海外旅行を実現するのは簡単ではありません。
たとえば、旅券法の制限や外務省の判断によって、パスポートの申請が却下されることも。また、たとえ取得できたとしても、行き先の国によっては入国を拒否されるケースもあるのです。
つまり、執行猶予中に海外旅行を検討する場合は、「パスポートの取得」と「渡航先の入国条件」という二つのハードルをクリアする必要があります。
この記事では、そうした注意点やリスク、実際の対応方法について、わかりやすく解説していきます。
【執行猶予中にパスポートが取りにくい理由】
一見すると「執行猶予中=刑務所に入っていないのだから自由に動ける」と思われがちですが、実はそう単純ではありません。執行猶予とは、有罪判決を受けたうえで、その刑の執行を一時的に猶予されている状態。つまり、すでに「前科あり」という扱いになります。
この「前科あり」がネックになるのが、パスポートの申請です。
日本の旅券法(第13条)では、一定の条件に該当する人には旅券の発給を拒否できると定めています。たとえば、以下のようなケースです。
-
禁錮以上の刑に処せられ、執行を終えていない、または執行猶予中
-
渡航先で問題を起こすおそれがあると判断される場合
-
外務大臣が「不適当」と判断する特別な事情がある場合
このように、執行猶予中であること自体が、旅券発給を拒否される理由になり得るのです。
また誤解されがちなのが、「執行猶予=軽微な犯罪」というイメージ。たしかに軽犯罪の場合にも執行猶予が付くことはありますが、殺人のような重大犯罪でも、情状酌量が認められれば執行猶予が付くことがあります。
つまり、同じ執行猶予でもその背景は千差万別。外務省としても、「この人に海外に行かせて大丈夫か?」という視点で、慎重に判断を下すのです。
【執行猶予中のパスポート申請方法と注意点】
執行猶予中でも、パスポートを申請することは可能です。ただし、通常の申請とは異なり、いくつかの追加手続きが必要になります。自分で対応するための流れをわかりやすく説明します。
①申請前にパスポートセンターへ事前連絡するのがおすすめ
執行猶予中であることがわかると、追加書類の提出が必要になります。そのため、いきなり窓口に行くのではなく、事前に電話で事情を伝えておくとスムーズです。
伝える内容の例:
-
「現在、執行猶予中なのですが、パスポートの申請は可能ですか?」
-
「どのような書類を持参すればよいですか?」
地域のパスポートセンターや都道府県の旅券課に問い合わせましょう。丁寧に対応してくれます。
② 申請書の記入|「執行猶予を受けていますか」に正直にチェック
パスポートの申請書には「執行猶予の処分を受けていますか」という質問があります。
現在執行猶予中の方は、「はい」にチェックを入れてください。
虚偽申告(「いいえ」にチェック)をすると、旅券法違反で逮捕・起訴される可能性があり、執行猶予の取り消し→実刑となる恐れもあります。正直に記載することが最も重要です。
③ 提出を求められる主な書類と取得方法
以下の書類を求められるケースが多いです。自分で集めることができます。
● 渡航事情説明書
-
どこに、なぜ行くのかを自分で書く書類
-
フリーフォーマットでOK(PCでも手書きでも可)
-
内容の例:
「2025年6月に、アメリカで開催される国際展示会に会社の代表として出席するため、パスポートが必要です。滞在期間は5日間です。」
● 判決謄本(刑事裁判の結果が記された書類)
-
取得先:判決を受けた裁判所
-
「判決謄本を取りたい」と窓口で伝えれば対応してもらえます
-
本人確認書類・印紙代(数百円)が必要になる場合あり
※郵送でも請求できますが、日数に余裕をもって動きましょう
● 身分証明書・顔写真など通常のパスポート申請に必要な書類
-
住民票(本籍地記載あり)
-
マイナンバーカードや運転免許証
-
証明写真(縦45mm×横35mm)
④ 書類をそろえてパスポートセンターで申請
必要な書類をすべてそろえたら、通常どおりパスポートセンターに行って申請します。
これらの書類をもとに、外務省やパスポートセンターが審査を行い、「発給の可否」「渡航可能な国」「旅行期間」などを個別に判断するので、即日発行されることはなく審査に時間がかかります。
審査の結果、パスポートが発行されないケースや、発行されても特定の国・期間に限定された「制限付きパスポート」になることもあります。
【執行猶予中でも海外に行ける?】
「パスポートが取れたから、もう海外に行ける」と思っていませんか?
実は、パスポートを持っていても、入国できるかどうかは別問題。国によっては、犯罪歴があるだけで入国を拒否される場合もあるのです。
特に注意が必要なのが、アメリカ・カナダ・オーストラリアなど、ビザ免除制度(ESTAやETA)を利用する国です。これらの国では、入国前に「過去に有罪判決を受けたことがありますか?」といった質問に答える必要があります。
ここで嘘の申告をしてしまうと、入国審査で発覚した際に即時入国拒否・強制送還となるリスクがあります。また、今後その国に入れなくなる可能性もあるため、絶対に虚偽申告はしないでください。
たとえ執行猶予付きであっても、「有罪判決を受けたことがある」という事実は変わりません。
この点が審査の対象になるため、事前に渡航先の「入国条件」をしっかり確認することが非常に大切です。
旅行会社や航空券を予約する前に、
-
その国の大使館のホームページ
-
外務省「海外渡航情報」サイト
-
ビザ関連のサポートセンター
などを確認し、自分の状況でも入国可能かを把握しておきましょう。
国によっては、有罪歴があっても事前に申請すれば入国を許可してくれるケースもあります。どうしても行きたい国がある場合は、ビザを正式に申請し、過去の判決内容や渡航目的を誠実に伝えることで道が開けることもあります。
【執行猶予中の違反で実刑も?取り消しの条件とは】
執行猶予中というのは、刑務所に入っていないだけで、「有罪判決を受けた状態」であることに変わりありません。言い換えれば、刑の執行が一時的に“猶予されているだけ”の期間です。
この期間中に再び何かの犯罪を犯すと、「執行猶予が取り消されて実刑になる」可能性があります。
たとえば、
-
スピード違反や無免許運転
-
酒気帯び運転や携帯使用による事故 など、一見軽く思える交通違反でも、「再犯」として扱われ、執行猶予が取り消されることがあります。
実際に、スピード違反で検挙され、すでに出ていた執行猶予が取り消されて懲役刑が執行されたケースも報告されています。
執行猶予の取り消しには、主に以下のようなケースが該当します:
-
執行猶予中に再度、禁錮以上の刑に処される犯罪を犯したとき(必ず取り消される)
-
再犯ではなくても、猶予中に重大な道交法違反などを繰り返したとき(裁判所の判断で取り消される可能性)
つまり、「ちょっとした違反だから大丈夫だろう」という油断は命取りになりかねません。
執行猶予期間中は、特に慎重な行動が求められます。些細な違反で人生が大きく変わる可能性があることを、決して忘れてはいけません。
【まとめ|執行猶予中の海外旅行は慎重に】
執行猶予中であっても、法律上はパスポートを取得できる可能性があります。ただし、現実には旅券法の制限や外務省の判断により発給が拒否されたり、制限付きとなるケースもあります。
また、パスポートが取得できたとしても、渡航先の国が入国を拒否する可能性もあるため、事前にビザや入国条件をしっかり確認することが重要です。
申請時には「執行猶予を受けているか」の質問に正しく回答し、必要書類(渡航事情説明書・判決謄本など)を準備する必要があります。
さらに、執行猶予中の違反行為は猶予の取消し・実刑に直結するリスクがあるため、細心の注意が必要です。
海外旅行を検討する前に、自分の状況とリスクをよく把握し、慎重に対応しましょう。