2025/05/03 コラム
逮捕されても資格は守れる?医師・看護師・教員など有資格者が知っておくべき防衛策
「逮捕されたらもう医師として働けないのでは?」
「一度逮捕されただけで資格がなくなるのでは?」
もし、そんな不安を感じているなら、まず知っておいてほしいことがあります。
実は、逮捕された=必ず資格喪失 というわけではありません。
多くの国家資格(医師、看護師、教員、介護福祉士、行政書士など)には、
それぞれ 「欠格事由(けっかくじゆう)」 という、登録を取り消されたり資格を失ったりするためのルールが法律で定められています。
逮捕された段階ではまだ「資格を失う」とは決まっていません。さらに、たとえ起訴されても、
✅ 不起訴処分になった場合
✅ 略式命令(罰金刑)で済んだ場合
✅ 執行猶予付きの判決の場合
であれば、資格喪失まではいかないケースも多くあります。
もちろん、資格の種類や事件の内容によって違いはありますが、
「逮捕された=資格も人生も終わり」ではない、ということを知っておくことが、冷静に次の一歩を考えるための大切なポイントです。
この記事では、逮捕されてしまったときに「資格を守るためにできること」について、資格ごとのルールや具体的な対策をわかりやすく解説していきます。
欠格事由は、一般的に
✅ 絶対的欠格事由
✅ 相対的欠格事由
の二つに分けられます。
-
絶対的欠格事由 にあたる場合、その間は資格を持つこと自体が認められず、職業に就くことができません。
-
相対的欠格事由 は、一定の判断や裁量のもと、必ずしも資格を失うとは限らない のが特徴です。
犯罪歴があることは、国家資格保持者にとって、
職業生活に多大な影響を与える要素と言えます。
特に 有罪判決を受けた場合 は、その内容次第で
✅ 資格が剥奪される
✅ 登録が取り消される
✅ 業務停止処分となる
など、重い結果につながる可能性が高くなります。
だからこそ、資格を維持したり新たに取得するためには、
前科をつけないこと(不起訴・略式命令で終わらせること) が重要になります。
禁錮以上の刑で絶対的に資格を失う主な例(絶対的欠格事由)
🏛️ 【公務員・法曹関係】
資格・職種 | 欠格期間 | 根拠法令 |
---|---|---|
国家公務員 | 禁錮刑の執行終了または執行猶予期間満了まで | 国家公務員法第5条の3 |
地方公務員 | 禁錮刑の執行終了または執行猶予期間満了まで | (地方公務員法第16条) |
裁判官・検察官・弁護士 | 禁錮以上の刑で即資格喪失 | 弁護士法第7条 ほか |
🎓 【教育・福祉関係】
資格・職種 | 欠格期間 | 根拠法令 |
---|---|---|
学校教員 | 禁錮以上の執行終了後3年経過するまで | 教育職員免許法第10条 |
保育士 | 禁錮刑の執行終了後2年経過するまで | 児童福祉法第18条の5 |
社会福祉士・介護福祉士 | 禁錮又は罰金刑の執行終了後2年経過するまで | 社会福祉士法及び 介護福祉士法第3条 |
⚖️ 【士業関係】
資格・職種 | 欠格期間 | 根拠法令 |
---|---|---|
司法書士 | 刑の執行終了後3年経過まで | 司法書士法第5条 |
行政書士 | 刑の執行終了後3年経過まで | 行政書士法第2条の2 |
公認会計士 | 刑の執行終了後3年経過まで | 公認会計士法第4条 |
税理士 | 国税、地方税に関する法令、税理士法による禁錮刑の執行終了後5年経過までそれ以外の法令は3年 また、通告処分執行終了後3年経過まで | 税理士法第4条 |
🏢 【不動産・建設・金融関係】
資格・職種 | 欠格期間 | 根拠法令 |
---|---|---|
宅地建物取引士 | 刑の執行終了後5年経過まで | 宅地建物取引業法第18条 |
建築士 | 刑の執行終了後5年経過まで | 建築士法第7条 |
土地家屋調査士 | 刑の執行終了後3年経過まで | |
生命保険募集人 |
刑の執行終了後3 年経過まで | 保険業法第275条 |
罰金以上の刑で資格を失う可能性がある例(相対的欠格事由)
🩺 【医療関係】
資格・職種 | 欠格期間 | 根拠法令 |
---|---|---|
医師 | 罰金刑以上又は医事に関し犯罪又は不正行為で免許取消又は3年以内の停止 | 医師法第4条3号 |
歯科医師 | 罰金刑以上又は医事に関し犯罪又は不正行為で免許取消又は期間を定めて停止 | 歯科医師法第4条3号 |
薬剤師 | 罰金刑以上又は薬事に関し犯罪又は不正行為で免許取消又は3年以内の停止 | 薬剤師法第5条3号 |
保健師・助産師・看護師・准看護師 | 罰金刑以上又は業務に関し犯罪又は不正行為で免許取消又は3年以内の停止 | 保健師助産師看護師法第9条1号 |
栄養士 | 罰金刑以上又は業務に関し犯罪又は不正行為で免許取消又は1年以内の停止 | 栄養士法第6条 |
破産、成年後見、重大な義務違反など、資格ごとにルールが異なります。
どの資格にどんなリスクがあるのか、早めに確認しておくことが大切です。
【資格を守るために今できること】
もしあなたが加害者として事件に関わってしまったとしても、
すぐに「もう資格は失うしかない」とあきらめる必要はありません。
実は多くの国家資格では、
「逮捕されたら即失格」ではなく、事件の結果(不起訴・起訴・有罪など)によって資格を維持できる可能性があります。
では、資格を守るために「今すぐできること」は何か?
具体的なポイントを解説します。
1️⃣ 早い段階で弁護士に相談する 🧑⚖️
まず何より大切なのは、できるだけ早く刑事事件に強い弁護士へ相談すること。
特に、
✅ 「不起訴を目指す」
✅ 「起訴されても略式命令(罰金)で終わらせる」
✅ 「登録取消しや業務停止まで見据えた対応をする」
といった視点を持ち、正しい方針を決め迅速に動けるかどうかが、その後の人生を大きく左右します。
2️⃣ 不起訴・略式命令で終わらせるための戦略 ⚔️
資格を守るうえでは、できる限り起訴されないこと(不起訴)がもっとも有利。
そのために必要な対策は次のとおりです。
✔️ 早い段階で事実確認と証拠整理を行う
✔️ 被害者がいる場合は示談を成立させる(後述)
✔️ 検察官に対して反省や改善策(再発防止策)を示す
✔️ 略式命令(罰金刑)で済むよう働きかける
🟥 そして何より大切なのは、「逮捕される前」に動くこと。
被害届が出される前、捜査が本格化する前に、
こちらから誠意を持って働きかけることで、そもそも逮捕そのものを防げる可能性があります。
逮捕されてしまうと、その事実だけで
「信用を失う」「職場に知られる」「資格取消しリスクが高まる」など、取り返しのつかないダメージにつながりかねません。
だからこそ、早めの行動がカギです。
❌ 「まだ大丈夫」
❌ 「様子を見てから考えよう」
と油断せず、できるだけ早く弁護士に相談し、逮捕を回避するための一歩を踏み出しましょう。
3️⃣ 被害者との示談が有利に働くケースも 🤝
被害者がいる事件の場合は、
早期の誠意ある謝罪と示談交渉 が不起訴や処分軽減につながることがあります。
✅ 「被害者が許している」
✅ 「一定の解決ができている」
という点は重視されることが多いです。
ただし、無理な接触や脅迫的なやり取りは逆効果。
必ず弁護士を通じて、適切に進めることが大切です。
資格を守るためには、
「刑事手続き」と「行政上の制裁(登録取消しなど)」の両方を意識した対応が必要です。
慌てず、まずは弁護士に相談して、
最適な戦略を立てましょう。
【資格があるからこそ早めの防御を】
医師、看護師、教員、介護福祉士、弁護士──。
これまで努力して取得した資格を、一度の過ちで失ってしまうかもしれない。
その不安は、加害者として事件に関わってしまった多くの人が感じています。
しかし繰り返しになりますが、
逮捕=即、資格喪失ではありません。
むしろ、
✅ 事件の初動でどう動くか
✅ どのタイミングで弁護士に相談するか
✅ 行政処分の場でどう説明するか
これらが、その後の人生を大きく左右します。
「資格があるからこそ、信用が大切」
だからこそ、ただ反省するだけではなく、正しい防御をすることが必要です。
あきらめないことが大切です❤️🔥
資格を持っていると、「自分はもう終わりだ」と感じてしまいがちです。
しかし、法律は「どう再スタートするか」「立ち直る機会」を残してくれています。
たとえ罪を犯してしまったとしても、
それだけで全てを失う必要はありません。
大切なのは、どう行動するか。
もし今、
「どうすれば資格を守れるのか」
「今すぐすべきことは何か」
迷っているなら、ぜひ早めに弁護士に相談してください。
早い相談が、あなたの資格と未来を守るためのいちばんの近道です。
初回相談無料です。お気軽にお電話またはLINEにてお問い合わせください。