2025/03/06 コラム
「心の傷」でも傷害罪?精神的苦痛で傷害罪が成立するケースとその判断基準を解説します
「殴られたり蹴られたりしていないのに、傷害罪になるの?」と思う人もいるかもしれません。でも、最近では強い精神的なダメージも「傷害」と認められて、傷害罪が成立することがあります。では、どんな場合に精神的苦痛で傷害罪が成立するのでしょうか?この記事では、そのポイントや具体的な例をわかりやすく説明します。
【傷害罪とは?精神的苦痛も含まれるの?】
傷害罪とは、人の体を傷つけた場合に成立する犯罪です。法律では、「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する」と決められています。
多くの人は「傷害罪=殴る・蹴るなどの暴力」と思うかもしれません。しかし、法律では「傷害」とは、体の機能を傷つけることを指します。そのため、精神的なダメージが原因で病気になった場合も、傷害罪が成立することがあります。近年、職場や家庭、学校、インターネット上での精神的苦痛が大きな問題になっており、精神的な攻撃による健康被害が深刻化しています。
【精神的苦痛で傷害罪になるケース】
精神的苦痛による傷害罪が認められる例をいくつか紹介します。
1. 騒音によるケース
騒音によって精神的なストレスが蓄積し、健康被害が生じることがあります。実際に合った例としては、長期間にわたりラジオや目覚まし時計を大音量で鳴らし、被害者に強い精神的ストレスを与えた結果、慢性的な頭痛や睡眠障害が発生したとして、傷害罪が認められました。
2. いじめや嫌がらせ
学校や職場でのいじめで、被害者が精神的に追い詰められ、心の病気になった場合も傷害罪が成立することがあります。実際に合った例としては約4年間継続して脅迫、無言電話をかけ、被害者をPTSDに陥らせたとして、傷害罪が認められました。
3. DV(家庭内での暴言)
家庭での暴言や人格を否定する発言が続いた結果、被害者が精神的に病んでしまった場合も、傷害罪が適用されることがあります。身体的な暴力がなくても、精神的な攻撃が続いた場合は注意が必要です。例えば、配偶者や子どもに対して「お前なんか価値がない」「誰もお前を愛さない」といった暴言を繰り返すことで、被害者が精神的に不安定になり、日常生活に影響が出るケースもあります。
4. SNSやネットでの誹謗中傷
最近では、SNSやネット上での悪口や誹謗中傷が原因で、精神的に追い詰められるケースが増えています。特に、ひどい書き込みが原因でうつ病になった場合、加害者が傷害罪に問われる可能性があります。ネット上での誹謗中傷は匿名で行われることが多く、加害者が特定されにくいという問題もありますが、証拠を集めることで法的措置を取ることが可能です。
【精神的苦痛による傷害罪のポイント】
精神的苦痛で傷害罪が成立するかどうかは、次のポイントで判断されます。
1. 医師の診断書があるか
精神的な病気になった場合、医師の診断書が重要な証拠になります。診断書には、病気になった経緯や症状が書かれており、傷害罪が成立するかどうかを判断する材料になります。特に、ストレス障害や適応障害、PTSDなどが診断された場合は、精神的苦痛が重大であることを証明しやすくなります。
2. 加害者の行動と病気の関係
精神的なダメージが傷害罪になるには、加害者の行動が原因で病気になったことが証明される必要があります。例えば、長期間の暴言や嫌がらせのせいで病気になったと証明できれば、傷害罪の適用が考えられます。証明のためには、加害者の発言や行動を記録しておくことが重要です。
3. 証拠があるか
精神的苦痛で傷害罪を立証するには、証拠が必要です。録音データやメール、LINEのやり取り、目撃者の証言などが重要な証拠になります。特に、日記をつけたり、スクリーンショットを保存しておくことで、後に証拠として活用できます。
4. 被害者の生活への影響
精神的苦痛が傷害罪として認められるためには、被害者の生活に大きな影響を与えたことが重要な要素になります。例えば、仕事を辞めざるを得なくなった、外出ができなくなった、家族との関係が悪化したなどの具体的な影響が証明できると、傷害罪が成立しやすくなります。
【精神的な苦痛でも傷害罪になることがある】
最近では、精神的な苦痛が原因で傷害罪が成立するケースが増えています。パワハラやいじめ、家庭内暴力、ネットでの誹謗中傷などで精神的に病んでしまった場合、加害者が責任を問われることがあります。
精神的に苦しいと感じたら、まずは医師の診断を受け、証拠を集めることが大切です。また、弁護士に相談することで、適切な対応を取ることができます。逆に、自分が加害者になってしまうリスクを避けるためにも、日頃から言動には注意し、相手の心の負担を考えることが重要です。加害者になりそうな人も、被害者になってしまった人も、早めに弁護士に相談し、適切な対処をしましょう。
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