コラム

2025/03/04 コラム

詐欺の受け子は何罪に問われる?逮捕のきっかけと実刑回避の方法を弁護士が解説します!

 


近年、特殊詐欺事件が増加しており、その手口も巧妙化しています。特に、現金やキャッシュカードを受け取る「受け子」として関与してしまうケースが後を絶ちません。「軽いバイトのつもりだった」「指示されただけで何もしていない」と考えていても、実際には重い罪に問われる可能性があります。一度受け子になってしまうと辞めたくても代わりを紹介しないと抜けられないといった実態もあり、犯罪組織から抜け出すことが困難になるケースもあります。本記事では、受け子をした場合のリスクや逮捕のきっかけ、実刑を回避する方法、そして家族ができる対応について詳しく解説します。

 

【受け子とは?出し子・かけ子との違い】

特殊詐欺では、「受け子」「出し子」「かけ子」などの役割が存在します。それぞれの違いを簡単に説明すると、

受け子:被害者と直接会い、現金やキャッシュカードを受け取る役割。

出し子:だまし取った現金をATMから引き出す役割。

かけ子:被害者に電話をかけ、詐欺の話を信じ込ませる役割。

受け子は被害者と直接接触するため、逮捕されるリスクが特に高く、警察も重点的に捜査を行っています。

 

【受け子の逮捕のきっかけ】

受け子が逮捕されるきっかけには、以下のようなものがあります。

1. 防犯カメラの映像

受け渡しの現場やATMには高性能な防犯カメラが設置されており、映像解析によって特定されることが多いです。

2. 警察の張り込み

警察は特殊詐欺の捜査を強化しており、現金受け渡しの場所で張り込みを行うことがあります。被害者の通報を受けて、受け取りの瞬間に逮捕されるケースもあります。

3. 共犯者の供述

組織の中で他のメンバーが逮捕されると、供述から受け子の情報が明らかになり、後日逮捕されることもあります。

4. スマホ・通信履歴の解析

指示を受けていたスマホの通信履歴やLINEのやり取りから関与が判明し、後日逮捕されることもあります。

 

【受け子が問われる罪】

受け子として関与した場合、詐欺罪が成立する可能性があります。

1. 詐欺罪(刑法246条)

受け子は被害者を直接だます行為を行わなくても、詐欺グループの一員として詐欺の実行に関与していると判断され、詐欺罪の正犯に問われます。詐欺罪は、だまし取った金額の大小に関係なく、10年以下の懲役が科される可能性があります。

受け子は「指示を受けただけ」と言っても、厳しく処罰される可能性が高いのです。

また出し子には窃盗罪、かけ子には詐欺罪が成立する可能性があります。

 

【実刑を回避する方法】

受け子として逮捕された場合、実刑を回避するには以下の対応が重要です。

 

1. 早期の弁護士相談

逮捕後すぐに弁護士を依頼することで、釈放や執行猶予を得るための交渉を行うことができます。

 

  • 国選・私選・当番弁護士の違い

    • 国選弁護人:勾留後資産が50万円未満である場合に利用でき、裁判所が選任する弁護士。基本的に無料

    • 当番弁護士:逮捕後に無料で1回接見(相談)できる弁護士。

    • 私選弁護人:被疑者や家族が自ら選んで依頼する弁護士。

    私選弁護士は逮捕前から依頼できますが、逮捕後に本人が直接呼ぶことは原則できません。ただし、事前に依頼している場合は、警察官に「〇〇法律事務所の〇〇弁護士に電話してください。」と伝えれば連絡を取ることが可能です。

2. 示談交渉

被害者と示談が成立すれば、起訴されない可能性が高まります。ただし、詐欺罪は「親告罪」ではないため、示談が成立しても必ず不起訴になるわけではありません。

3. 自首の検討

逮捕前であれば、自首することで刑が軽減される可能性があります。ただし、事前に弁護士と相談し、適切なタイミングで自首することが重要です。

 

【家族ができる対応】

受け子として家族が逮捕された場合、速やかに詐欺事件に強い弁護士を依頼することが重要です。

  • 逮捕直後や接見禁止中は本人との連絡が取れないため、弁護士を通じて状況を確認。

  • 当番弁護士や私選弁護士を依頼し、適切な弁護を受けられるよう手配する。

 

【まとめ】

受け子は詐欺罪などの重い罪に問われ、最長で20年の懲役刑が科される可能性がある。
逮捕のきっかけは防犯カメラ、警察の張り込み、共犯者の供述、スマホの履歴解析などが多い。
実刑を回避するには、早期に弁護士へ相談し、示談交渉や自首を検討することが重要。
家族が逮捕された場合、速やかに詐欺事件に強い弁護士を依頼し、適切な対応を取ることが求められる。

特殊詐欺の受け子は、軽い気持ちで関わったとしても厳しい処罰を受ける可能性があります。逮捕されてからでは対応が難しくなるため、早い段階で弁護士に相談し、適切な対策を講じることが重要です。

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