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2025/03/01 コラム

「警察に通報されたくなければ○○円払え」と言われたら?適切な対応を弁護士が解説

SNSが普及した現代では、ネット上でのトラブルも増加しています。なかでも、「警察に通報されたくなければ○○円払え」と金銭を要求されるケースは、恐喝や脅迫に該当する可能性があり、慎重な対応が求められます。この記事では、こうした状況に直面した際の適切な対応について解説します。

 

 

【「警察に通報されたくなければ○○円払え」は犯罪?】

相手が「○○円払わなければ警察に通報する」と要求してきた場合、それが犯罪に該当するかどうかは状況によります。

 

(1)脅迫罪になるケース

刑法第222条では、生命・身体・自由・名誉・財産に対する害悪を告知して脅した場合、脅迫罪が成立すると定められています。「金を払わないなら通報する」といった心理的な圧力をかける発言は脅迫罪に当たる可能性があります。

(2)恐喝罪になるケース

刑法第249条では、相手を脅して財産を交付させる行為を指します。「金を払わないなら通報する」といった発言によって、相手が恐怖を感じてお金を支払ってしまった場合、恐喝罪が成立する可能性があります。

 

 

【SNSでよくあるトラブル事例】

SNSでは、以下のようなケースで「通報されたくなければ○○円払え」と要求されることがあります。

 

(1)誹謗中傷を理由に金銭を要求される

「お前の書き込みは名誉毀損に当たる。謝罪として○○円払え。払わなければ警察に通報する」などと言われるケースがあります。しかし、名誉毀損に該当するかどうかを判断するのはあくまで裁判所であり、個人が勝手に金銭を請求することは違法となる可能性があります。

(2)ネット上のトラブルをネタに脅される

過去に投稿した内容や発言を取り上げられ、「こんなことをしていたと拡散されたくなければ金を払え」と脅されるケースもあります。これは脅迫罪や恐喝罪に該当する可能性が高く、応じるべきではありません。

(3)オンライン取引でのトラブル

フリマアプリやゲームのアイテム取引などで、「不良品を売った」「詐欺だ」と言われ、金銭を要求されるケースもあります。実際に問題がある場合でも、警察への通報を条件に金銭を要求する行為自体が違法となる可能性があります。

 

 

【言われたときの適切な対応法】

万が一、「警察に通報されたくなければ○○円払え」と言われた場合、適切な対応をとることが重要です。

 

(1)冷静に対応し、即座に支払わない

相手の言葉に動揺し、すぐに金銭を支払ってしまうと、その後も要求がエスカレートする可能性があります。まずは冷静になりましょう。

(2)証拠を残す

相手からのメッセージや通話履歴、スクリーンショットを保存しておくことが重要です。これらは、警察や弁護士に相談する際の証拠となります。

(3)警察や弁護士に相談する

脅迫や恐喝の可能性がある場合、警察や弁護士に相談するのが最も安全な方法です。特に、相手が繰り返し金銭を要求してくる場合は、早めに専門家に相談しましょう。弁護士に相談することで、具体的な対応方法や、法的に適切な対処を教えてもらえます。また、警察に相談することで、事態が深刻化する前に適切な措置を取ってもらえる可能性があります。

(4)相手と直接交渉しない

相手とのやり取りを続けることで、さらにトラブルが大きくなる可能性があります。不要なやり取りを避け、適切な機関に相談しましょう。また、相手が感情的になっている場合、不用意な発言をすると事態が悪化する可能性があるため、慎重に行動することが大切です。

 

 

【実際に通報されたらどうなる?】

もし相手が本当に警察に通報した場合、どのような影響があるのでしょうか?

まず、警察は通報を受けると、内容を確認し、事件性があるかどうかを判断します。単なる嫌がらせの通報であれば、特に問題にはなりません。しかし、実際に違法行為が疑われる場合には、警察が事情聴取を行う可能性があります。その際、誤解や行き違いがあった場合でも、適切に説明し、必要に応じて弁護士に相談することが重要です。

また、虚偽の通報で相手があなたを陥れようとしている場合、相手側が偽計業務妨害罪(刑法第233条)に問われる可能性もあります。根拠のない通報によってあなたが不利益を被った場合は、警察に対して虚偽通報の事実を伝え、適切な対応を求めましょう。

 

 

【まとめ】

「警察に通報されたくなければ○○円払え」と言われた場合、冷静に対応し、証拠を残しながら警察や弁護士に相談することが重要です。また、自分自身が加害者にならないよう、SNS上の発言や行動にも注意しましょう。ネット上のトラブルは放置せず、早めに専門家に相談することをおすすめします。

さらに、もし本当に警察に通報された場合も、慌てずに事実関係を整理し、適切な対応をとることが大切です。不安がある場合は、すぐに弁護士に相談しましょう。

 

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