
「交通事故を起こしてしまった…これって刑事事件になるの?」と不安に思う方も多いでしょう。交通事故はすべてが刑事事件になるわけではありませんが、場合によっては「刑事責任」を問われることがあります。本記事では、交通事故が刑事事件になるケースや刑事処分の流れについて、わかりやすく解説していきます。
【交通事故で刑事責任を問われるケース】
交通事故が刑事事件として扱われるかどうかは、事故の状況や運転者の過失の程度によります。一般的に、人身事故や悪質な違反を伴う事故では刑事責任を問われる可能性が高くなります。
1. 死亡事故や重傷事故
事故によって相手が死亡した場合や、大けがを負わせた場合には、刑事責任が問われる可能性が高くなります。特に、被害者が亡くなった場合は「過失運転致死罪」や「危険運転致死罪」として立件されることが多いです。
2. 飲酒運転・ひき逃げ
飲酒運転やひき逃げは、悪質な行為とみなされ、厳しい刑事処分の対象となります。例えば、飲酒運転で人身事故を起こした場合、「危険運転致死傷罪」として最高で懲役20年の刑が科されることもあります。
3. スピード違反・信号無視などの重大な違反
著しいスピード超過(制限速度を大幅に超える)や、信号無視、無謀運転などの危険な運転行為をしていた場合も、刑事責任を問われることがあります。特に、悪質な運転が原因で人にケガを負わせた場合、「危険運転致傷罪」が適用される可能性があります。
4. 過失が重い場合
例えば、スマホを操作しながらの運転(ながら運転)や、注意を怠った運転(わき見運転など)で事故を起こし、人にケガをさせた場合、「過失運転致傷罪」として処罰される可能性があります。
【交通事故の刑事処分の流れ】
交通事故が刑事事件になる場合、どのような流れで処分が決まるのでしょうか?
1. 事故発生と警察の捜査
交通事故が発生すると、警察が現場に駆けつけ、状況を確認します。人身事故の場合は、実況見分が行われ、運転者の事情聴取や証拠の収集が行われます。
2. 送検(検察への書類送付)
警察の捜査が終わると、事件は検察へ送られます(これを「送検」といいます)。ここで、起訴(裁判にかけるかどうか)の判断が行われます。
3. 検察の判断(不起訴 or 起訴)
検察は、運転者の過失の程度や事故の状況、被害者との示談の有無などを考慮し、以下のいずれかの処分を決定します。
・不起訴処分(裁判にならない)
→ 軽微な事故や、示談が成立し、刑事処罰の必要がない場合は不起訴となります。
注意点:不起訴の場合、基本的に検察から連絡は来ません。後日、検察に問い合わせて「不処分通知書」を発行してもらうことで、不起訴になったかどうかを確認できます。
・略式起訴(罰金刑)
→ 軽い人身事故の場合は、罰金刑となることが多いです。この場合、正式な裁判をせずに処分が確定します。
・公判請求(正式な裁判)
→ 重大な事故や悪質な違反がある場合は、裁判が開かれ、刑事罰(懲役刑など)が科される可能性があります。
4. 裁判と刑事処分の決定
正式な裁判になった場合、懲役刑や執行猶予付きの判決が下されることがあります。特に、危険運転致死傷罪が適用された場合は、長期間の懲役刑となることもあります。
【交通事故で刑事責任を問われた場合の対処法】
1. 速やかに弁護士に相談する
交通事故で刑事責任を問われる可能性がある場合、弁護士に相談することが最優先です。特に、被害者との示談交渉や、刑を軽減するための対応が必要になります。
2. 被害者との示談を進める
示談が成立すると、検察が不起訴処分とする可能性が高くなります。示談の進め方についても、弁護士に相談しながら対応しましょう。
3. 反省の姿勢を示す
事故後に誠実な対応をすることは、裁判での量刑にも影響します。反省文の提出や、事故防止のための講習を受けることも有効です。
【まとめ】
交通事故はすべてが刑事事件になるわけではありませんが、人身事故や悪質な運転が関係する場合は、刑事責任を問われる可能性が高いです。
刑事処分の流れとしては、事故発生→警察の捜査→検察の判断→裁判(必要に応じて)→刑の決定、というステップになります。
もし事故を起こしてしまった場合は、速やかに弁護士に相談し、適切な対応をとることが大切です。特に、被害者との示談交渉や反省の姿勢を示すことが、刑事処分の結果に大きく影響します。
安全運転を心がけることが最も大切ですが、万が一の事故に備えて、正しい知識を持っておくことも重要です。
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