2026/01/10 コラム
不同意性交等罪で訴えられた?呼び出しを受けたときの状況整理と対応について詳しく解説!

不同意性交等罪で「訴えられた」「警察から呼び出された」という連絡を受けた場合、多くの方が強い不安や混乱を感じます。何が起きているのか、今後どのような流れになるのか、そしてどう対応すれば良いのかを理解することが極めて重要です。
本記事では、不同意性交等罪で訴えられた状態や背景、今後想定される流れやリスク、そして取るべき行動について、法的な観点から詳しく解説します。冷静に状況を整理し、適切な初動対応を行うための参考としてください。
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【目次】 |
不同意性交等罪とは?まず押さえておくべき基本

不同意性交等罪は、2023年7月13日に施行された刑法改正によって新設された犯罪です。従来の強制性交等罪や準強制性交等罪を統合し、より実態に即した処罰を可能にするために創設されました。
この罪は「単に同意がなければ常に成立する」というものではなく、
1. 相手が「同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な状態」にあることを利用して性交等を行った場合
2. 行為がわいせつなものではないと誤信させたり、人違いさせたりして性交等を行った場合
3. 16歳未満の者に対して性交等を行った場合
という複合的な構成要件で規定されており、法定刑は5年以上の有期拘禁刑という非常に重い刑罰が定められています。
2023年に新設された犯罪の位置づけ
不同意性交等罪は、性犯罪に関する法体系を大きく見直す中で生まれた犯罪類型です。この改正は、性的な行為における「同意」の重要性を法律上明確にし、被害者の実態に即した保護を図るための重要な一歩とされています。刑法第177条に規定されており、性的自己決定権を侵害する行為を広く処罰することを目的としています。
具体的には、①相手を「同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な状態」にさせ、またはそのような状態にあることに乗じて性交等をした場合が中心であり、この「困難な状態」を生じさせる原因として、暴行・脅迫のほかアルコール・薬物の影響、心理的圧力、地位・関係性の悪用など8類型が例示されています。
さらに、②行為がわいせつなものではないと誤信させる、または行為者を別人だと誤信させるなどの錯誤を利用した性交等、③16歳未満の者に対する性交等も不同意性交等罪として処罰対象とされています。
また、この改正では、いわゆる「性交同意年齢」が13歳から16歳に引き上げられ、16歳未満の者に対する性交等は、同意があったとしても原則として処罰される仕組みが整えられました。
その一環として、刑法177条でも16歳未満の者に対する性交等が不同意性交等罪の一類型として規定されており、特に13歳以上16歳未満の者との性行為については、行為者と被害者の年齢差が一定以上ある場合などに処罰対象となるよう、若年者同士の性行為との区別が図られています。
従来の強制性交罪との違い
改正前の強制性交等罪では、罪が成立するために加害者による「暴行または脅迫」があったことの証明が不可欠でした。しかし実際の性被害の現場では、暴行や脅迫がなくとも被害者が抵抗不能に陥るケースが多く存在していました。例えば、恐怖による身体の硬直(フリーズ)や、上司と部下などの地位・関係性を利用したケースなどです。
改正前の要件の解釈により犯罪の成否の判断にばらつきが生じ、事案によってはその成立範囲が限定的に解されてしまう余地があるとの指摘がありました。不同意性交等罪では、これらの要件を改めて、性犯罪の本質的な要素を「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態」という表現を用いて統一的な要件としています。
さらに、配偶者間でも本罪が成立することが条文上明確に規定されました。婚姻関係の有無にかかわらず、同意のない性交等は処罰されるという原則が確立されたのです。加えて、公訴時効期間も10年から15年に延長され、被害者が18歳未満の場合には18歳に達するまでの期間が時効に加算されることになりました。
不同意性交等罪で「訴えられた・呼び出された」とはどんな状態?

では、「訴えられた」「呼び出された」というのは具体的にどのような状況なのでしょうか。実はこの言葉には、法律上いくつかの異なる意味があります。
自分が置かれている状況を把握することが適切な対応の第一歩となりますので、両者の違いを知っておきましょう。
被害申告・被害届・告訴の違いを整理
まず、被害者側が警察に対して行う手続きには、
● 被害申告
● 被害届
● 告訴
という3つの形態があります。被害届とは、犯罪の被害者が警察や検察等の捜査機関に対し、被害に遭った事実を申告する届出のことです。これは単に被害事実を知らせるものであり、犯人の処罰を求める意思表示は含まれていません。
告訴とは、犯罪被害者やその親族等の告訴権をもつ者が、捜査機関に対し、被害に遭った事実を申告して、犯人の処罰を求めることです。被害届と異なり、告訴には明確に犯人の処罰を求める意思が含まれています。法的な効果として、被害届では捜査機関に捜査義務が生じませんが、告訴では捜査機関に捜査開始義務が生じます。
不同意性交等罪は非親告罪であるため、告訴がなくても起訴することができます。しかし実務上、被害者との示談が成立しているかどうかは、起訴・不起訴の判断において非常に重要な要素となります。被害者が「許す」と言っている以上、検察官もその意思を尊重した結論を出す傾向があるからです。
警察が捜査を開始するタイミング
警察が不同意性交等罪の捜査を開始するタイミングは、主に2つのパターンがあります。1つ目は、被害者が警察に被害を届け出た時です。被害届や告訴が提出されると、警察はその内容を精査し、犯罪の疑いがあると判断した場合に捜査を開始します。
2つ目は、警察が事件の情報を独自に掴んだ場合です。例えば、病院からの通報、目撃者からの情報提供、他の事件の捜査過程で発覚した場合などがあります。また、SNSやマッチングアプリを通じた事件では、被害者の訴えをきっかけに、アプリ運営会社への照会や防犯カメラの確認などを通じて容疑者を特定することもあります。
捜査が開始されると、警察は証拠収集のために様々な活動を行います。被害者からの詳細な事情聴取、現場の実況見分、防犯カメラ映像の確認、関係者への聞き込み、メールやSNSのやり取りの確認などです。これらの捜査を通じて、容疑者の特定と事件の全容解明が進められていきます。
警察・検察から連絡が来る主なパターン
警察や検察から連絡が来るパターンとしては、まず捜査が一定程度進んだ段階で、事件の関係者として詳しい話を聞きたいという理由で任意出頭を求められる場合があります。電話や書面で「お話を伺いたいことがあります」と連絡があり、警察署や検察庁への出頭を要請されます。
自宅や職場に警察官が訪れて、その場で任意同行を求められることもあります。さらに深刻なケースでは、逮捕状を持った警察官が来て、逮捕される場合もあります。逮捕は、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断された場合に行われる強制処分です。
検察庁からの呼び出しは、警察の捜査が終了し、事件が検察官に送致された後に行われることが一般的です。検察官は、起訴するかどうかを判断するために、被疑者本人から直接話を聞く必要があると判断した場合に出頭を求めます。
任意同行と逮捕の違いを理解
任意同行を求められ、それに応じたとしても、その時点では逮捕されたわけではありません 。逮捕と任意同行の大きな違いは、行動の自由の有無にあります。逮捕されると行動の自由が大きく制限されますが、任意同行であれば、法律上いつでも退去することができます。
逮捕の場合は、法に則った手続により捜査機関は強制的に被疑者を連行することが可能です 。被疑者が拒絶した場合であっても、捜査機関は強制力を持って連行することができます。通常逮捕の場合、事前に発付を受けた逮捕状を示され、逮捕する旨を告げられ、連行されることになります。
任意同行の場合、任意に同行するということですので、警察署等に行くのは被疑者の自由です 。そのため、任意同行を求められた際に、応じないという選択肢もあり得ます。もっとも、任意同行に応じない場合、捜査機関が逮捕状の発付を受け、逮捕することも考えられます。
ただし、任意同行であっても、むやみに退去しようとすると、逃亡しようと考えていると受け取られてしまうリスクがあり、逮捕につながるおそれがあります。
不同意性交等罪で訴えられる主なケースを解説!

不同意性交等罪で訴えられるケースは多様ですが、同意の有無が争点となる場面が特に多く見られます。具体的にどのような場面を指すのか、3つのケースを紹介します。
同意の有無が争点となる場面
酩酊状態や心理的支配など、暴行・脅迫以外の状況でも罪が成立します 。具体的には、被害者がアルコールや薬物の影響で正常な判断ができない状態での性交、睡眠中や意識がもうろうとしている状態に乗じた性交などが該当します。
そのほか、心理的圧力による場合も対象となります。例えば、職場の上司と部下、教師と生徒、医師と患者など、地位や関係性による影響力を利用して、相手が拒否しにくい状況を作り出して性交に及んだ場合です。このような場合、外見上は暴行や脅迫がなくても、被害者が同意しない意思を全うすることが困難な状態にあったと認定される可能性があります。
さらに、フリーズ(恐怖による硬直)の状態も重要です。突然の出来事に驚き、恐怖で身体が動かなくなる状態で性交が行われた場合、被害者が抵抗していないように見えても、実際には同意しない意思を表明することが困難な状態にあったと判断されることがあるのです。
事後的に被害申告が行われた経緯
マッチングアプリやSNSを通じて知り合った相手との間で、当初は合意のもとで会っていたものの、性行為の段階で明確な同意がなかったとして、後日被害申告がなされるケースが増えています。このような場合、当事者間では「同意があった」と考えていても、相手方は「同意していなかった」「断れる雰囲気ではなかった」と感じていることがあるためです。
また、知人間や交際相手との間でも、事後的に被害申告が行われることがあります。別れ話のもつれや関係性の悪化をきっかけに、過去の性行為について「実は同意していなかった」と訴えるケースです。このような事案では、同意の存在を示す証拠があるかどうかが争点となります。
職場や学校などの閉鎖的な環境での事案も少なくありません。地位や権力関係を背景に、被害者が当時は明確に拒否できなかったものの、時間が経過してから精神的に整理がつき、被害申告に至るパターンもあります。
年齢要件による処罰対象(16歳未満)
2023年の刑法改正により、性交同意年齢が13歳から16歳に引き上げられました。16歳未満の人に性交等やわいせつな行為を行った場合、それ自体が処罰の対象となります 。これにより、相手が16歳未満であれば、たとえ明確な同意があったとしても原則として処罰される枠組みが整えられました。
ただし、刑法177条3項においては、被害者が13歳以上16歳未満の場合には、行為者が被害者より5歳以上年長である場合に限って不同意性交等罪として処罰されると整理されています。
このように、年齢差などの要素を考慮することで、年齢が近い若年者同士の性行為については、原則として処罰対象から外す方向で線引きがされています。
この年齢要件に関する事案では、被害者の年齢を知らなかった・あるいは年齢を偽られていたという主張がなされることがあります。しかし、相手の年齢について十分な確認を怠っていた場合にも、故意が認められる可能性があります。特にマッチングアプリなどを通じた出会いでは、年齢確認の重要性が高まっています。
不同意性交等罪で訴えられた場合はどういう対応をすればいいのか?

不同意性交等罪で訴えられた・または警察から連絡があった場合、初動対応が極めて重要です。ここからは、もしものときに取るべき対応方法について解説します。
現在の立場と事実関係を時系列で整理する
まず、自分が現在どのような立場に置かれているのかを正確に把握することが必要です。警察から任意出頭を求められているのか、任意同行を要請されているのか、それとも既に逮捕されているのかによって、対応は大きく異なります。
次に、事実関係を時系列で整理しましょう。いつ、どこで、誰と、どのような経緯で出会い、何があったのかを詳細に記録します。特に大切なのは、相手との同意に関するやり取りです。メールやSNSのメッセージ、通話記録など、同意の存在を示す証拠があれば保存しておきましょう。
ただし、証拠を隠滅したり、関係者に口裏合わせを依頼したりすることは絶対に避けてください。これらの行為は証拠隠滅罪に該当する可能性があり、逮捕や勾留の理由となるだけでなく、別の罪で処罰される可能性もあります。あくまで客観的な事実を整理し、記録しておくことが目的です。
自己判断を避け、弁護士へ早期に相談する
不同意性交等罪は5年以上の有期拘禁刑という非常に重い刑罰が定められている犯罪です。法律の専門知識がない状態で、自己判断で対応することは極めて危険です。取り調べでの不適切な供述が、後に不利な証拠として扱われることもあります。
よって、弁護士に早期に相談することをおすすめします。現在の状況を法的に正確に分析し、今後想定される流れとリスクを説明してもらえる点が第一のメリットと言えます。黙秘権の行使が適切なのか、どのように説明すべきなのかといった判断は、専門家の助言なしには困難です。
さらに、被害者との示談交渉においても、弁護士の介入が不可欠です。加害者本人が直接被害者に接触することは、被害者の恐怖心を増大させ、事態を悪化させる可能性が高いです。弁護士が間に入ることで、適切なタイミングと方法で示談交渉を進めることができるでしょう。
逮捕前の段階であれば、自首への同行や、早期の示談成立によって、逮捕されずに事件を解決できる可能性もあります。既に逮捕されている場合でも、勾留阻止や早期釈放に向けた弁護活動が重要となるため、弁護士の存在は欠かせません。
不同意性交等罪の処罰・リスクはどれくらい?

不同意性交等罪の処罰は非常に重く、社会生活に甚大な影響を及ぼします。前科がつくことで、自身の生活のすべてに影響を与えると言っても過言ではありません。
法定刑と前科が与える影響
不同意性交等罪の法定刑は、原則として5年以上の有期拘禁刑とされており、罰金刑は規定されていません。
起訴されれば公開の法廷で裁判が行われ、有罪となれば実刑または執行猶予付きの拘禁刑が科されますが、執行猶予が付くためには、一般的に刑期が3年以下となるような事情(減軽事由や示談の成立など)が認められる必要があり、重い処分が選択されやすい犯罪と評価されています。
前科がつくことによる影響は深刻です。まず、就職や転職が極めて困難になります。特に公務員、教員、医療・福祉関係、金融機関などでは、性犯罪の前科がある者の採用はほぼ不可能です。また、現在の職場からの解雇も避けられないケースが多いでしょう。
家族関係への影響も甚大です。配偶者との離婚、親権の喪失、親族からの縁切りなど、人間関係が根本から破壊される可能性があります。社会的信用の失墜により、地域社会での生活が困難になることもあります。
さらに、逮捕・起訴されれば、報道される可能性もあります。実名報道されれば、インターネット上に情報が半永久的に残り、将来にわたって検索で表示され続けることになります。
示談や不起訴となる可能性
不同意性交等罪は、密室での事案が多く客観証拠が乏しいことから、同意の有無が争点となる事件では不起訴となるケースも少なくありません。
具体的な不起訴率や、起訴猶予・嫌疑不十分といった処分理由の内訳は、年度や統計資料によって数値が変動するため、最新の公式統計(検察統計等)を確認しつつ個別事案ごとに見ていく必要があります。
不同意性交等で起訴猶予になるためには、被害者との間で示談が成立していることが必要です 。示談が成立していない状態で起訴猶予を獲得することは、実務上ほぼ期待できません。示談金の相場は100万円から300万円程度とされていますが、事案の内容によって大きく変動します。
嫌疑不十分とは、犯罪の疑いはあるものの、証拠が不十分で有罪判決を得られる見込みがないと判断された場合の処分です。不同意性交等罪は、密室で発生することが多く、客観的な証拠が少ないという特質があるため、同意の有無について争う余地がある事案では、嫌疑不十分で不起訴となる可能性があります。
容疑を認める場合は、被害者との示談成立が不起訴獲得の鍵となります。容疑を否認する場合は、同意の存在を示す証拠の収集や、被害者供述の矛盾点の指摘など、弁護士による綿密な防御活動が必要です。いずれの場合も、早期に専門家に相談し、適切な戦略を立てることが求められます。
不同意性交等罪で訴えられた・呼び出されたら須賀法律事務所へ相談を

不同意性交等罪で訴えられた、または警察から呼び出しを受けた場合、冷静に状況を把握し、適切な初動対応を取ることが極めて重要です。自己判断での対応は事態を悪化させる可能性が高く、必ず法律の専門家に相談すべきです。
須賀法律事務所は、刑事事件に特化した法律事務所として、不同意性交等罪をはじめとする性犯罪事件において豊富な経験と実績を有しています。不同意性交等罪をはじめとする性犯罪事案において、多数の不起訴処分や執行猶予付き判決を獲得してきました 。
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