2025/03/05 コラム
万引き初犯でも実刑の可能性がある?判断基準や弁護士に相談するメリットを解説
あなたは「万引きくらいの初犯なら大したことない」と思っていないでしょうか?
万引きは刑法第235条の窃盗罪に該当し、10年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される犯罪です。初犯であっても、場合によっては実刑判決が下されるリスクがあります。
本記事では、万引きの初犯でも実刑になるケース、前科を回避するための対応、弁護士に相談するメリットについて詳しく解説します。
万引きの刑罰
万引きによってどのような刑罰が下されるのか、ここから見ていきましょう。
万引きには、窃盗罪の刑罰が適用されます。その内容は「50万円以下の罰金または10年以下の懲役刑」です。
万引きが成立する具体的なケースは以下の通りです。
- 本屋で雑誌やマンガを盗った
- コンビニで本や食べ物を盗った
- スーパーマーケットで勝手に食品を持ち帰った
- デパートでほしい商品を持ち帰ってしまった
このように見ていくと、万引きは比較的理解しやすい犯罪であることが分かると思います。
万引き初犯でも実刑の可能性がある?判断基準を解説
一般的に、万引きの初犯では、執行猶予付きの判決や罰金刑となることが多いです。しかし、次のようなケースでは実刑判決のリスクが高まります。
まず、被害額が10万円以上の高額な場合、単なる軽犯罪とはみなされず、刑が重くなる可能性があります。さらに、暴行や脅迫を伴う万引きの場合、窃盗罪ではなく強盗罪とみなされ、刑が一気に重くなるため注意が必要です。
加えて、計画的な犯行や組織的な犯行である場合、または過去に万引きを繰り返していたことが明らかになった場合には、常習性が認められ、厳しい判決が下されることがあります。特に、裁判所は反省の態度が見られない場合、より重い刑を科す傾向にあります。
さらに、被害店舗との示談が成立しておらず、被害者の処罰感情が強い場合も、刑が重くなる要因となります。示談が成立しないと、裁判官の心証が悪くなり、初犯でも実刑となる可能性が高まります。
万引きで逮捕されるときや逮捕後の流れ
それでは、万引きが見つかった場合はどのように逮捕され、その後の流れに繋がるのでしょうか?
ここから、発覚・逮捕・その後の流れについて見ていきましょう。
万引きで逮捕されるときの流れ
万引きは、現行犯逮捕が多いと言われています。万引きをし、そのお店を出る際に店員に呼び止められて捕まるというケースが一般的です。
日頃から万引きを繰り返していると、店員がその人に目をつけるようになります。そして、その後同じ客が現れたら厳しく監視するようになるのです。店員がよく見ているので、実際に万引きをすると声をかけられることになります。
監視カメラが設置してあるお店などでは、後日に犯行が明らかになって逮捕されるケースもあります。
万引きで逮捕された後の流れ
万引きで現行犯逮捕されると、大抵の場合はお店の奥の部屋などに連れて行かれ、警察を呼ばれます。
警察が来た際に店主が許していない場合は、そのまま警察への同行を求められて、留置場に入れられます。
初犯のケースや本人がしっかりと反省しているケース、商品をそのままきちんと返したケースなどでは店主がその場で許し、警察を呼ばれない場合があります。また、警察を呼ばれた後に許してもらえる場合もあります。そういった時には、警察に連れて行かれることはありません。
しかし、初犯で罪に問われないケースは非常にまれで、近年では初犯であろうと被害額が小さくとも警察に連行されるケースの方が多いようです。
万引きで逮捕された場合の2種類の刑事裁判
万引きで逮捕された際の裁判の方法は2種類です。1つは略式裁判、もう1つは通常裁判と呼びます。
ここからは、2種類の裁判について見ていきましょう。
略式裁判
略式裁判は、適用する刑罰が罰金100万円以下で、被疑者(被告人)が罪を認めているときに採用される簡単な裁判を指します。
略式裁判になったときには、被告人が実際に裁判所に行く必要がないところも特徴です。
自宅宛に罰金の納付書が送られてくるので、それを使って支払いをしたら刑罰を終えたことになります。
万引きの場合にも、罰金刑が選択されて本人が罪を認めていれば、たいていは略式裁判となるでしょう。
通常裁判
通常裁判は、通常の公開法廷で開かれる裁判です。懲役刑が予定されるケースや被疑者が否認している場合などに通常裁判となります。
通常裁判になった場合には、被告人は必ず裁判所に出廷しなければなりません。そして、検察官から追及されて裁判官から判決を言い渡されることになります。
万引きでも、何度も犯行を繰り返している場合や悪質な事案、被害額が高額な場合、本人がまったく反省していない場合などには通常裁判となって、懲役刑が選択される可能性もあるところが特徴です。
万引き発覚後に前科を回避するための対応
万引きが発覚した後、どのように対応するかが、その後の処分を大きく左右します。前科を回避するためには、以下のような行動を取ることが重要です。
被害店舗への早期対応
万引きが発覚したら、まずは被害店舗への誠実な対応を心がけましょう。具体的には、以下のような行動をとることが求められます。
- 被害品を返却し、損害額を速やかに弁償する
- 店舗に謝罪文を提出し、真摯に謝罪の意を示す
- 被害店舗と示談交渉を行い、和解を成立させる
こうした対応をとることで示談が成立すれば、不起訴となる可能性が高まります。
取り調べでの適切な対応
警察の取り調べでは、事実を素直に認め、反省の意を示すことが重要です。虚偽の供述をすると、供述の信用性が疑われ、裁判で不利になる可能性があります。供述調書の内容は慎重に確認し、納得できない点があればその場で訂正を求めましょう。
また、警察官から厳しい言葉をかけられることもありますが、冷静に対応し、感情的にならないことも大切です。
万引きの示談金の相場
万引きで被害者と示談をするとき、示談金額がどのくらいになるのでしょうか?
ここからは、万引きの示談金の相場を解説していきます。
万引きの場合には、被害品の時価を支払うと示談できるケースが多いです。時価に「慰謝料」が加算されることは、ほとんどありません。
なぜなら万引きの場合、被害者が民事裁判(損害賠償請求訴訟)を起こしたとしても慰謝料が認められる可能性が低いからです。被害者には、法的に慰謝料を請求する権利が認められないということになります。
しかし、見つかった時の被害額が少額であったとしても、これまで何度も万引きを繰り返してきた場合も考えられます。その場合には、余罪の分も勘案した示談金を支払わないと示談が厳しくなるでしょう。
また被害者の被害感情によっては、慰謝料を上乗せしないと被害者が納得しないケースもあります。そのようなときには、1万円の商品であっても10万円支払わないと示談できないこともあるため、相手に合わせた対応が求められます。
万引きで逮捕された際に弁護士に相談するメリット
万引きで逮捕された場合、早めに弁護士に相談することで、前科を回避できる可能性が高まります。弁護士が介入することで、以下のようなサポートを受けることができます。
示談交渉:被害者と適切な金額で示談を成立させ、不起訴を目指す
逮捕前の対応:逮捕を回避するために、警察との交渉を行う
逮捕後の対応:早期釈放を目指し、警察や検察と交渉する
裁判での弁護:起訴された場合、執行猶予付きの判決を獲得するための弁護活動を行う
特に、示談交渉は弁護士が間に入ることでスムーズに進むことが多く、個人で示談を申し入れても応じてもらえないケースでも、弁護士が交渉を行うことで和解に至ることがあります。
また、示談は一度成立すると基本的に変更することができないため、法律知識のある弁護士の監修のもとで進めることが望ましいです。
万引き初犯でお困りの方は須賀法律事務所にお任せ
万引きの初犯でも、犯行の態様や被害額によっては実刑判決を受けるリスクがあります。しかし、適切な初期対応や示談交渉を行うことで、前科を回避できる可能性が高まります。
万引きで逮捕された場合や、今後の処分に不安がある場合は、早めに弁護士に相談することをおすすめします。専門的なアドバイスを受けることで、不起訴や執行猶予の可能性を最大限に高めることができます。
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